2017年06月25日

「エンデュアランス号漂流記」

170625.JPG中公文庫BIBLIO
アーネスト・シャクルトン 著、木村義昌/谷口善也 訳
エンデュアランス号漂流記
(2003年6月15日 初版印刷、2003年6月25日 初版発行)


“漂流もの”は沢山読んできたが、南極・南氷洋でのそれは初めて。
ちょっと前に、手持ちの「八甲田山死の彷徨」を読んでいたので、寒い話が続くなーというのがお気楽一般市民の感想 ^^;


100年前、イギリスの南極探検隊の遭難・漂流の話。
その隊長の著であるからして、不名誉な部分なんかは端折られてるんじゃないかと勘繰ってしまうが、だとしても素晴らしいリーダーシップだ。

南極大陸上陸寸前に船が氷に捉われ閉ざされ氷ごと漂流、やがて船は壊れ沈没するも隊員は氷に乗り移ってさらに漂流、小さなボートで島に上陸、そのボートで別の島への航海、そして着いた島での山越え…
氷のせいで遭難し船も失うが、その氷のおかげで助かる、という、えーとそういう四字熟語は何かあったっけ?
んで、結局、漂流が始まってから1年半かかるも全員が生還。
この手の話で全員生還ってのがすごいんじゃないかね?
幸運もあったのだと思うが、リーダー次第でこうも違うか、と、「八甲田山…」と比べて思わざるを得ない。
もちろん比べられるものでもないけれども。


ただ、原著のせいか翻訳のせいか、全体になんとなく日本語としてこなれてない感じがした。
原著者が作家ではないし仕方ないか。
その点はさすがに新田次郎著の「八甲田山…」の方が…

まあしかしそんな些細なことはどうでもよくなるような、寒々しいけど大変面白い物語。
実話だしね。

ちなみに船名の「エンデュアランス」って何かなと思ったら、「endurance」で、忍耐とか耐久力とか、そんな意味だった。
船は耐え切れずに沈んじゃったけど、乗組員にはふさわしい名だ。

posted by 並句郎 at 18:57|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2017年06月11日

「漢字のおさらい」

170611.JPG自由国民社 おとなの楽習24
吉田誠夫 著
漢字のおさらい
(2012年2月9日 第1刷発行)


「はじめに」より。
「漢字のおさらい」とは…
漢字のもつ社会的・文化的な機能がどのように生まれたのか、その歴史や意味をもういちど確認する
とのこと。


目次。

・中国編
1 文字の起源
2 甲骨文と金文
3 書体の変遷
4 字典の編纂
5 六書
6 部首
7 則天文字
8 簡体字
9 増え続ける漢字

・日本編
1 日本人と漢字の出会い
2 万葉びとの漢字遊び
3 国字と国訓
4 常用漢字の改定
5 人名漢字
6 義務教育で習う漢字

・難読語編
1 難読語とは何か
2 難読漢字クイズ



特に日本編では万葉から一足飛びに常用漢字の話になったりして、丹念に歴史を追ったような内容ではない。
薄めの本だし、ですます調で、まさに“楽習”って感じで気楽に読める。

日本での漢字の歴史については類書を何冊か読んでいたので、個人的には中国編が面白かった。

まあ、例えば漢検でやっている漢字教育サポーター育成講座(≒漢字教育士講座(?))とやらに比べればその100分の1にも満たない内容だとは思うが、自分のようにサポーターとか漢字教育士を目指す気力も知力も財力も無い方にはいいかも ^^

posted by 並句郎 at 18:49|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2017年05月26日

「だから、その日本語では通じない」

170526.JPG青春出版社
田村秀行 著
だから、その日本語では通じない
(2005年5月15日 第1刷)


リンクさせていただいているブログ「再挑戦!漢字学習」で紹介されていた「日本語力の磨き方」(サブタイトル「漢検なんか受けるな!」)を読みたかったのだが、図書館に無かったので代わりに同じ著者のこの本を借りてきた。
こちらにはサブタイトルはついてないが、全10章のうちの第9章のタイトルが「バカの文章は「漢字」が多い」で、漢検批判もされている。

その第9章以外は、漢字とは特に関係無しに「通じない」・「通じる」日本語についての考察。
読んでて眠くなった。
それはまあ、どうしてもこの本を読みたかったわけではなく著者名だけで借りてきた自分の責任であって、著者が悪いわけではない。

それでも随所になるほどと思う部分はあった。
例えば、「見られる」→「見れる」のような「ら抜き言葉」には寛容である一方で、「コーヒー とか 飲もう」のような「とか」の使い方は怪しからん、なんてあたり、決して感情論ではなくちゃんとした理屈があって納得できた。
日本語を突き詰めて考えていけばそういうことなんだなーと思わせる、が…

しかし第9章での漢検批判には閉口した。
それまではおおむね穏やかな文章だったのに、その部分にくるといきなり攻撃的になる。
漢検に何かイヤな思い出でもあるんだろうかねー ^^
そこを全部引用したいところだが、そこそこ長いし著作権的にどうなのか、と思うのでやめておいてあげよう。
まあ一言で言えば的外れ。
四字熟語で言えば、牽強付会、全豹一斑、かな。
そんな四字熟語についても批判的で、そこだけちょっと引用すると、
四字熟語は「漢検の花」ですからね、それだけでどういう代物かわかるというものでしょう。」(P168)
と、まあ、なんでそこまで漢検を目の敵にするんだろかね。
やっぱり過去に何かが… ^^

その第9章さえ無ければ悪くない本だったのに。
もう1ヵ所だけ引用させてもらえば、126ページのこの部分。
《何を言ったか》よりも《誰が言ったか》で決まる場合が多い
ですよねー。
第9章みたいな書き方してちゃ、説得力ありませんよー。

posted by 並句郎 at 19:13|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2016年06月07日

「十八世紀末のアイヌ蜂起」

160607.JPGサッポロ堂書店
菊池勇夫 著
十八世紀末のアイヌ蜂起 - クナシリ・メナシの戦い
(2010年8月1日 初版第1刷発行)


残念ながら半分弱ぐらいしか読んでいない。
自分のようなニワカには詳し過ぎる内容で、研究者向けかなと思ったので。
が、もうちょっと勉強してからもう一度手に取りたいので、覚えとして書いておく。


帯より抜粋。


「和人」側からではあるが、当事者の証言を批判的に読み解き、この全貌を明らかにする!

飛騨屋、松前藩、幕府(三者)の史料に依拠せざるを得ないという限界の中で、情熱と執念の力で真実に迫る著者渾身の力作。


アイヌ側の史料が無いことをわざわざ帯で強調しているのが特徴的。

で、その和人側の史料を“論考”(はしがきより)する本。
和人側と言っても、帯にもある通りに立場の違う三者の史料があるので、そのあたりを「批判的に読み解」いていく。

それらの史料の引用が多いので、古文書を読み慣れていない自分にはその点でも読むのが難しい。
活字でも難しいんだから、これが筆書きの原本だったら尚更だろうなーなどと無学丸出しの感想 ^^;

しかし内容は興味あることばかりで、「夷酋列像」についても書かれている。
いずれ、歴史と、古文書の読み方を勉強してから、是非あらためて読みたい。


蛇足。
この「クナシリ・メナシの戦い」と聞くと思い出すのが、船戸与一著「蝦夷地別件」。
おそらく10年以上前に、当然今以上に無知だった頃に読んだ小説。
読後に手放してしまったが、こちらも是非もう一度読みたい。
が、小説なのでどこまでが事実でどこからが創作なのかが分からないのが難点、かな?
そこはまあ割り切って、面白けりゃいいじゃんってかたにはおすすめですよ。



さて。
当然ながら図書館には読みたい本がまだまだ無数にあるが、自宅にも未読の本が結構ある。
自宅の本の量と、自分の読書ペース、そして自分の残り時間を考えると、まず自宅の本を消化せねば、と。
なので今年の図書館はたった2冊で終了。
速読術でも勉強するべきなのだろうか?
まずは速読術の本を図書館で借りてくるべきなのか???

posted by 並句郎 at 19:45|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2016年05月27日

「千島列島をめぐる日本とロシア」

160527.JPG北海道大学出版会
秋月俊幸 著
千島列島をめぐる日本とロシア
(2014年5月25日 第1刷発行)


帯より抜粋。

日露関係史の泰斗による通史。

日本とロシアの最初の接触から現代までを、
両国さらにはアイヌ民族とのかかわりについて、歴史的に考察。
一般読者向けに読みやすく書き下ろした、
著者積年の研究の総決算。



“泰斗”の“総決算”ではあるものの“一般読者向け”なので読み易い。
歴史の教科書を読んでる気分だった。
千島だけでなく樺太についてもかなり触れられている。

“通史”なので、去年読んだ「黒船前夜」と似た感じだが、上記帯の通り、こちらは黒船後も現代まで書かれている。
そのうち、明治から戦前・戦中あたりまでのこの地方のことについてはあまり本で読んだ記憶が無かったので新鮮だった。
それは徐々にアイヌの影が薄れていく時代でもあるのだが。


で、毎度思うことは同じで、アイヌ自身による記録が無いのがなんとも残念と言うか歯痒いと言うか。
けどまあ、それを言っても仕方が無い。

アイヌだけでなく日本人もロシア人も苦労してるなーというのが“一般読者”の下衆な感想 ^^;
それでなくても自然条件が厳しいのに、さらに本国から遠くて補給もままならない未開の島々。
けれども資源は豊富だし、黙ってると相手に占領されるしで放置もできず。
そしてその日露の都合で振り回されるアイヌ。
で、現在まで続く北方領土問題。

一般人が読む通史としては上質だと思う。


ただ、もうちょっと詳しい地図を載せて欲しかった。
見返しに地図が一応あることはあるのだが、大雑把すぎる。
その地図に載ってない地名を現代の地図で探そうとしても、地名が当時とは変わっていることが多いだろうし、そもそもこの地方の詳しい日本語の地図は少なくとも一般には出回ってないだろう。
択捉島までなら国土地理院の地形図があるけれども。

ところで、この著者名、どこかで見たことあるなーと思ったら、この本の訳者だった。
あ、今さら気がついたが、そこで参照していたテキサス大学のサイトの地図がちょっとは参考になるかな。
この「Index Map」で見たい区域の番号を調べて、ここのリストから選択。
地名がアイヌ語ではなく和風になっちゃってる所が多いみたいだけど。

posted by 並句郎 at 19:15|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2015年07月22日

「北朝鮮に嫁いで四十年」

150722.JPG草思社
斉藤博子 著
北朝鮮に嫁いで四十年 ある脱北日本人妻の手記
(2010年12月15日 第1刷発行)


ある日本人女性の、朝鮮人の夫との馴れ初めから、1961年の帰還事業での北朝鮮への出国、40年間の北朝鮮での生活、2001年の脱北・帰国、その後の日本での生活までの手記。
なのでほぼ50年間の話。

脱北記は沢山読んできたが、日本人妻のものは初めてかも知れない。

もちろん悲惨な話、ではあるのだが…
北朝鮮で生活していく上で、日本人妻ともなると色々と社会的な苦労もひとしお、かと思いきや、その点での深刻なハンデは(言葉の問題は別として)さほど無かったようだ。
収容所に入れられることも無かったし、小学生の作文のような文体ともあいまって微笑ましささえ感じてしまうような、類書の中では一風変わった本。



初めて脱北記というものを読んだのはいつだったか。
もう20年ぐらい前になるだろうか。
その時は、こんな国(北朝鮮)が長続きするはずはないと思ったものだが…
もはや悪い冗談だとしか思えない。

自分が死ぬまでになんらかの変革を見せてくれるだろうか。
もうあまり時間が無いぞ ^^

日本人妻や拉致被害者にとっても。

posted by 並句郎 at 22:40|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2015年06月30日

「漢字がつくった東アジア」

150630.JPG筑摩書房
石川九楊 著
漢字がつくった東アジア
(2007年4月25日 初版第1刷発行)


主題・主語は「東アジア」であって、趣味的な軽いノリで「漢字」の部分に期待するとちょっと外れる。
あとがきには「「漢語がつくった」という方が正確」ともあり、だったら最初から「漢語が…」にしといてくれよ、と。
早い話が、東アジア史の本。

で、まあ何と言うか、巨視的と言うのか、スケールの大きい話で、なるほどと思う部分も多い。
古代中国(というか、漢字・漢語)の影響力は大きかったんだなぁと改めて思わせるが、そう思えば思うほど、今の中国はどうしようもねぇな、とも思わざるを得ない。
別の方向での影響力は今も大きいけれどもねぇ。

著者は書家とのことなので、楷書や草書がどうこうという話も多く、その辺は専門家向けかなとも思うが、

▼(P36)
書の歴史は、楷書→行書→草書と動いてきたのではなく、隷書と同時期に初期の草書が生まれ、そして草書が行書化し、さらに楷書化していきます。


この話は意外だった。
そーなのか。



それはいいのだが、しかし…

序章の段階から怪しさはあった。
北朝鮮による拉致問題は騒ぎすぎだ、とか。
で、特に第5章以降。
読んでいてクラッとした。
漢字の話なんかそっちのけで、朝鮮はこんなにひどい目に遭った、日本は悪い、強制連行がどうの従軍慰安婦がどうの創氏改名がどうの…
はぁ、そういう認識の人であり、そういうことを書いた本でしたか。
他にも、憲法9条はすばらしい、死刑は怪しからん、米軍は沖縄から出て行けとか、なんつーかもう典型的。


▼(P138)
北朝鮮ではなく共和国といった方が本当はいい
(中略)
南を韓国というのであれば、北はやはり共和国と表記しなければおかしい


大韓民国→韓国、ならば、朝鮮民主主義人民共和国は「朝鮮国」なんじゃないのか?
「朝鮮共和国」でもいいが。
すぐ隣の中国をはじめ「ナントカ共和国」が沢山ある中で、単なる「共和国」がすなわちイコール北朝鮮という感覚は、朝鮮人のものでしかあり得ないだろう。

やっぱそういうことなのかなー。
この人、生まれ育ちは日本みたいだけどさ。

朝鮮とは直接関係無いはずのベトナムについての章で「日本海(東海)」なぁんて書いちゃってるし。(P180,182)

あと、これ↓とか。

▼(P163)
北朝鮮の脅威など何もないと思います。たとえばミサイル云々という話をしていますが、北朝鮮がミサイル発射の実験をするとすれば、これは大陸に撃ち込むわけにはいかないのですから、日本海に撃つか、もうちょっと延びれば日本を越えて太平洋へ向けて撃つということにしかそれはならないのです。


やっぱりねーって感じ。

あと、これ↓とかちょっとどーなの。

▼(P164)
(9.11、WTCのテロについて)これはまぎれもなく、突入した飛行機の側に責任がある。しかし、そのビルがその後自己崩壊を遂げた。この自己崩壊は二次的に起こったもので、問題はその建物の構造にあった。したがって、死んだ人の5分の4の責任はビルを設計した建築家、あるいはそのビルの建設を許したニューヨーク市当局にあるというのが私の考え方です。


いや、実際のところあの建物の構造がどうなのか知らないけど、あんただって建築についてそんなに詳しいとは思えないんだけどさ、5分の4の責任ってのもどういう計算なんだか、テロリストには5分の1の責任しか無いと?
なんか色々ホントにもう勘弁してください。


そんなこんなで、一般向けの本とはとても言えない。
いいことも書いているのだが、それが霞むほどの妨害電波。
東アジア史・書道史に興味があり、かつ、強力なノイズフィルターを完備しているかたのみ、まあヒマがあればどうぞ。
自分のフィルターでは少々性能不足でした ^^;

posted by 並句郎 at 22:34|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2015年06月24日

「父・宮脇俊三への旅」

150624.JPGグラフ社
宮脇灯子 著
父・宮脇俊三への旅
(2006年12月30日 第1版第1刷、2007年2月5日 第2刷発行)


紀行作家の故・宮脇俊三さんの長女が、父親や宮脇家について書いた本。
面白くて一晩で読んでしまった。

宮脇俊三さんの本はかなり読んだが、ご家族の話はあまり出てこなかったような気がする。
そりゃまあ基本的に紀行文だから当然だけど。
そうですか、こんなご家庭だったんですねぇ。
いや、父親の職業がやや特殊だというだけで、まあ普通のご家庭ではあるのだが、子供は女の子が2人ということもあってか、楽しく微笑ましい。

が、父親の死に直面する第Ⅲ部は胸が詰まる。
そんな最晩年でしたか…
亡くなる直前までのんびり汽車旅、とはいかず…


それでも、
自分の人生でやりたいことはすべてやったし、行きたいところへも行った。心残りはない」(P145)
と言える人生。

娘に、
編集者として、紀行作家として、二つの人生を全うした父」(P181)
と言わせる人生。

一つの人生ですらままならぬ身としては大変に羨ましいですよ先生。



さすが父親に鍛えられたせいか、DNAの為せる業か、とても読み易い文章に好感が持てる。
宮脇俊三さんを知っていればもちろん、知らなくても面白く読めると思う。
が、鉄分はごくわずかなので念のため ^^;

posted by 並句郎 at 18:53|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2015年06月16日

「死顔」

150616.JPG新潮社
吉村 昭 著
死顔
(2006年11月20日 発行)


目次。

ひとすじの煙
二人
山茶花
クレイスロック号遭難
死顔
遺作について─後書きに代えて 津村節子


この中の「死顔」が、2006年に亡くなった吉村さんの遺作。
津村さんは吉村さんの妻。

いつもながら期待を裏切らない吉村さんの短編集だが、やはり津村さんの「遺作について」が、ね。
短いけれども重いですよ、そりゃ。

今さらながら改めてご冥福をお祈り致します。

posted by 並句郎 at 20:56|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2015年06月10日

「東北」

150610.JPG中公新書 1584
河西英通 著
東北 つくられた異境
(2001年4月25日 初版、2004年5月20日 3版)


カバー(そで)より。
東北はどう見られ、とう語られてきたのか。

…について、主に明治期の出版物をたどる。

…という本なんだけども、そのあたりをよく見ず、もっとこうハード面での開発史みたいなのを勝手に想像してたので期待はずれだった。
もちろんそれは著者の責任ではない ^^;


で、東北はどう見られてきたのか、あるいは東北人自身はどう見てきたのか。
“どう”ってのは、つまりは東北の反対の西南である近畿や、特に明治期でもあるので薩長土肥と比べて、ってことになり、それはそれは散々な言われよう。
例えば
▼(P13)
野蛮・未開・不潔・怠惰・淫乱・固陋などのレッテルが貼られ、嫌悪と嘲笑の眼差しが投げかけられた

…とか。

しかし未開であることはそれだけ発展の余地がある、と前向きに考えてみたり、沿海州との航路に期待してみたり、色々がんばってみる。
…のだが、東北を飛び越して北海道の方が発展したりとか、なかなかままならない。
そうこうしているうちに明治は終わり、本書もそこで終わり。
現代はどうなのかまで語られていないので消化不良感があり、またハード的にどうこうではなく人々の認識の話でもあるので、なんだかはっきりしないフワッとした読後感。
終章の最後3行は鳩山由紀夫が書いてるのかと思ったが… ^^;


自分は宮城県に数年住んでいたことがあるが、“東北”ってのを意識することはあまり無かったかも。
奥羽山脈の上の夕焼け空を眺めて、あの下は山形県だなーと思った時に、あぁここは東北なんだーと改めて気付いたりして。
期間が短かったし、東北人の東北認識がどうなのかまでは分からない。
それに“西南”に住んだことも無いので、それとの比較も難しい。
自分にとっての東北は、住んでいた当時の、またそれ以外でも旅行先としての懐かしさばかりで、特段に後進的だとかのイメージは…
いや、正直なところそれもゼロではないかも知れないが。


明治の文章の引用が多いので、難しい漢字が沢山出てくる。
個人的には本の内容よりもそっちの方が面白かったりで著者には申し訳ない。

posted by 並句郎 at 22:09|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする