2016年06月07日

「十八世紀末のアイヌ蜂起」

160607.JPGサッポロ堂書店
菊池勇夫 著
十八世紀末のアイヌ蜂起 - クナシリ・メナシの戦い
(2010年8月1日 初版第1刷発行)


残念ながら半分弱ぐらいしか読んでいない。
自分のようなニワカには詳し過ぎる内容で、研究者向けかなと思ったので。
が、もうちょっと勉強してからもう一度手に取りたいので、覚えとして書いておく。


帯より抜粋。


「和人」側からではあるが、当事者の証言を批判的に読み解き、この全貌を明らかにする!

飛騨屋、松前藩、幕府(三者)の史料に依拠せざるを得ないという限界の中で、情熱と執念の力で真実に迫る著者渾身の力作。


アイヌ側の史料が無いことをわざわざ帯で強調しているのが特徴的。

で、その和人側の史料を“論考”(はしがきより)する本。
和人側と言っても、帯にもある通りに立場の違う三者の史料があるので、そのあたりを「批判的に読み解」いていく。

それらの史料の引用が多いので、古文書を読み慣れていない自分にはその点でも読むのが難しい。
活字でも難しいんだから、これが筆書きの原本だったら尚更だろうなーなどと無学丸出しの感想 ^^;

しかし内容は興味あることばかりで、「夷酋列像」についても書かれている。
いずれ、歴史と、古文書の読み方を勉強してから、是非あらためて読みたい。


蛇足。
この「クナシリ・メナシの戦い」と聞くと思い出すのが、船戸与一著「蝦夷地別件」。
おそらく10年以上前に、当然今以上に無知だった頃に読んだ小説。
読後に手放してしまったが、こちらも是非もう一度読みたい。
が、小説なのでどこまでが事実でどこからが創作なのかが分からないのが難点、かな?
そこはまあ割り切って、面白けりゃいいじゃんってかたにはおすすめですよ。



さて。
当然ながら図書館には読みたい本がまだまだ無数にあるが、自宅にも未読の本が結構ある。
自宅の本の量と、自分の読書ペース、そして自分の残り時間を考えると、まず自宅の本を消化せねば、と。
なので今年の図書館はたった2冊で終了。
速読術でも勉強するべきなのだろうか?
まずは速読術の本を図書館で借りてくるべきなのか???

posted by 並句郎 at 19:45|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2016年05月27日

「千島列島をめぐる日本とロシア」

160527.JPG北海道大学出版会
秋月俊幸 著
千島列島をめぐる日本とロシア
(2014年5月25日 第1刷発行)


帯より抜粋。

日露関係史の泰斗による通史。

日本とロシアの最初の接触から現代までを、
両国さらにはアイヌ民族とのかかわりについて、歴史的に考察。
一般読者向けに読みやすく書き下ろした、
著者積年の研究の総決算。



“泰斗”の“総決算”ではあるものの“一般読者向け”なので読み易い。
歴史の教科書を読んでる気分だった。
千島だけでなく樺太についてもかなり触れられている。

“通史”なので、去年読んだ「黒船前夜」と似た感じだが、上記帯の通り、こちらは黒船後も現代まで書かれている。
そのうち、明治から戦前・戦中あたりまでのこの地方のことについてはあまり本で読んだ記憶が無かったので新鮮だった。
それは徐々にアイヌの影が薄れていく時代でもあるのだが。


で、毎度思うことは同じで、アイヌ自身による記録が無いのがなんとも残念と言うか歯痒いと言うか。
けどまあ、それを言っても仕方が無い。

アイヌだけでなく日本人もロシア人も苦労してるなーというのが“一般読者”の下衆な感想 ^^;
それでなくても自然条件が厳しいのに、さらに本国から遠くて補給もままならない未開の島々。
けれども資源は豊富だし、黙ってると相手に占領されるしで放置もできず。
そしてその日露の都合で振り回されるアイヌ。
で、現在まで続く北方領土問題。

一般人が読む通史としては上質だと思う。


ただ、もうちょっと詳しい地図を載せて欲しかった。
見返しに地図が一応あることはあるのだが、大雑把すぎる。
その地図に載ってない地名を現代の地図で探そうとしても、地名が当時とは変わっていることが多いだろうし、そもそもこの地方の詳しい日本語の地図は少なくとも一般には出回ってないだろう。
択捉島までなら国土地理院の地形図があるけれども。

ところで、この著者名、どこかで見たことあるなーと思ったら、この本の訳者だった。
あ、今さら気がついたが、そこで参照していたテキサス大学のサイトの地図がちょっとは参考になるかな。
この「Index Map」で見たい区域の番号を調べて、ここのリストから選択。
地名がアイヌ語ではなく和風になっちゃってる所が多いみたいだけど。

posted by 並句郎 at 19:15|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2015年07月22日

「北朝鮮に嫁いで四十年」

150722.JPG草思社
斉藤博子 著
北朝鮮に嫁いで四十年 ある脱北日本人妻の手記
(2010年12月15日 第1刷発行)


ある日本人女性の、朝鮮人の夫との馴れ初めから、1961年の帰還事業での北朝鮮への出国、40年間の北朝鮮での生活、2001年の脱北・帰国、その後の日本での生活までの手記。
なのでほぼ50年間の話。

脱北記は沢山読んできたが、日本人妻のものは初めてかも知れない。

もちろん悲惨な話、ではあるのだが…
北朝鮮で生活していく上で、日本人妻ともなると色々と社会的な苦労もひとしお、かと思いきや、その点での深刻なハンデは(言葉の問題は別として)さほど無かったようだ。
収容所に入れられることも無かったし、小学生の作文のような文体ともあいまって微笑ましささえ感じてしまうような、類書の中では一風変わった本。



初めて脱北記というものを読んだのはいつだったか。
もう20年ぐらい前になるだろうか。
その時は、こんな国(北朝鮮)が長続きするはずはないと思ったものだが…
もはや悪い冗談だとしか思えない。

自分が死ぬまでになんらかの変革を見せてくれるだろうか。
もうあまり時間が無いぞ ^^

日本人妻や拉致被害者にとっても。

posted by 並句郎 at 22:40|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2015年06月30日

「漢字がつくった東アジア」

150630.JPG筑摩書房
石川九楊 著
漢字がつくった東アジア
(2007年4月25日 初版第1刷発行)


主題・主語は「東アジア」であって、趣味的な軽いノリで「漢字」の部分に期待するとちょっと外れる。
あとがきには「「漢語がつくった」という方が正確」ともあり、だったら最初から「漢語が…」にしといてくれよ、と。
早い話が、東アジア史の本。

で、まあ何と言うか、巨視的と言うのか、スケールの大きい話で、なるほどと思う部分も多い。
古代中国(というか、漢字・漢語)の影響力は大きかったんだなぁと改めて思わせるが、そう思えば思うほど、今の中国はどうしようもねぇな、とも思わざるを得ない。
別の方向での影響力は今も大きいけれどもねぇ。

著者は書家とのことなので、楷書や草書がどうこうという話も多く、その辺は専門家向けかなとも思うが、

▼(P36)
書の歴史は、楷書→行書→草書と動いてきたのではなく、隷書と同時期に初期の草書が生まれ、そして草書が行書化し、さらに楷書化していきます。


この話は意外だった。
そーなのか。



それはいいのだが、しかし…

序章の段階から怪しさはあった。
北朝鮮による拉致問題は騒ぎすぎだ、とか。
で、特に第5章以降。
読んでいてクラッとした。
漢字の話なんかそっちのけで、朝鮮はこんなにひどい目に遭った、日本は悪い、強制連行がどうの従軍慰安婦がどうの創氏改名がどうの…
はぁ、そういう認識の人であり、そういうことを書いた本でしたか。
他にも、憲法9条はすばらしい、死刑は怪しからん、米軍は沖縄から出て行けとか、なんつーかもう典型的。


▼(P138)
北朝鮮ではなく共和国といった方が本当はいい
(中略)
南を韓国というのであれば、北はやはり共和国と表記しなければおかしい


大韓民国→韓国、ならば、朝鮮民主主義人民共和国は「朝鮮国」なんじゃないのか?
「朝鮮共和国」でもいいが。
すぐ隣の中国をはじめ「ナントカ共和国」が沢山ある中で、単なる「共和国」がすなわちイコール北朝鮮という感覚は、朝鮮人のものでしかあり得ないだろう。

やっぱそういうことなのかなー。
この人、生まれ育ちは日本みたいだけどさ。

朝鮮とは直接関係無いはずのベトナムについての章で「日本海(東海)」なぁんて書いちゃってるし。(P180,182)

あと、これ↓とか。

▼(P163)
北朝鮮の脅威など何もないと思います。たとえばミサイル云々という話をしていますが、北朝鮮がミサイル発射の実験をするとすれば、これは大陸に撃ち込むわけにはいかないのですから、日本海に撃つか、もうちょっと延びれば日本を越えて太平洋へ向けて撃つということにしかそれはならないのです。


やっぱりねーって感じ。

あと、これ↓とかちょっとどーなの。

▼(P164)
(9.11、WTCのテロについて)これはまぎれもなく、突入した飛行機の側に責任がある。しかし、そのビルがその後自己崩壊を遂げた。この自己崩壊は二次的に起こったもので、問題はその建物の構造にあった。したがって、死んだ人の5分の4の責任はビルを設計した建築家、あるいはそのビルの建設を許したニューヨーク市当局にあるというのが私の考え方です。


いや、実際のところあの建物の構造がどうなのか知らないけど、あんただって建築についてそんなに詳しいとは思えないんだけどさ、5分の4の責任ってのもどういう計算なんだか、テロリストには5分の1の責任しか無いと?
なんか色々ホントにもう勘弁してください。


そんなこんなで、一般向けの本とはとても言えない。
いいことも書いているのだが、それが霞むほどの妨害電波。
東アジア史・書道史に興味があり、かつ、強力なノイズフィルターを完備しているかたのみ、まあヒマがあればどうぞ。
自分のフィルターでは少々性能不足でした ^^;

posted by 並句郎 at 22:34|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2015年06月24日

「父・宮脇俊三への旅」

150624.JPGグラフ社
宮脇灯子 著
父・宮脇俊三への旅
(2006年12月30日 第1版第1刷、2007年2月5日 第2刷発行)


紀行作家の故・宮脇俊三さんの長女が、父親や宮脇家について書いた本。
面白くて一晩で読んでしまった。

宮脇俊三さんの本はかなり読んだが、ご家族の話はあまり出てこなかったような気がする。
そりゃまあ基本的に紀行文だから当然だけど。
そうですか、こんなご家庭だったんですねぇ。
いや、父親の職業がやや特殊だというだけで、まあ普通のご家庭ではあるのだが、子供は女の子が2人ということもあってか、楽しく微笑ましい。

が、父親の死に直面する第Ⅲ部は胸が詰まる。
そんな最晩年でしたか…
亡くなる直前までのんびり汽車旅、とはいかず…


それでも、
自分の人生でやりたいことはすべてやったし、行きたいところへも行った。心残りはない」(P145)
と言える人生。

娘に、
編集者として、紀行作家として、二つの人生を全うした父」(P181)
と言わせる人生。

一つの人生ですらままならぬ身としては大変に羨ましいですよ先生。



さすが父親に鍛えられたせいか、DNAの為せる業か、とても読み易い文章に好感が持てる。
宮脇俊三さんを知っていればもちろん、知らなくても面白く読めると思う。
が、鉄分はごくわずかなので念のため ^^;

posted by 並句郎 at 18:53|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2015年06月16日

「死顔」

150616.JPG新潮社
吉村 昭 著
死顔
(2006年11月20日 発行)


目次。

ひとすじの煙
二人
山茶花
クレイスロック号遭難
死顔
遺作について─後書きに代えて 津村節子


この中の「死顔」が、2006年に亡くなった吉村さんの遺作。
津村さんは吉村さんの妻。

いつもながら期待を裏切らない吉村さんの短編集だが、やはり津村さんの「遺作について」が、ね。
短いけれども重いですよ、そりゃ。

今さらながら改めてご冥福をお祈り致します。

posted by 並句郎 at 20:56|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2015年06月10日

「東北」

150610.JPG中公新書 1584
河西英通 著
東北 つくられた異境
(2001年4月25日 初版、2004年5月20日 3版)


カバー(そで)より。
東北はどう見られ、とう語られてきたのか。

…について、主に明治期の出版物をたどる。

…という本なんだけども、そのあたりをよく見ず、もっとこうハード面での開発史みたいなのを勝手に想像してたので期待はずれだった。
もちろんそれは著者の責任ではない ^^;


で、東北はどう見られてきたのか、あるいは東北人自身はどう見てきたのか。
“どう”ってのは、つまりは東北の反対の西南である近畿や、特に明治期でもあるので薩長土肥と比べて、ってことになり、それはそれは散々な言われよう。
例えば
▼(P13)
野蛮・未開・不潔・怠惰・淫乱・固陋などのレッテルが貼られ、嫌悪と嘲笑の眼差しが投げかけられた

…とか。

しかし未開であることはそれだけ発展の余地がある、と前向きに考えてみたり、沿海州との航路に期待してみたり、色々がんばってみる。
…のだが、東北を飛び越して北海道の方が発展したりとか、なかなかままならない。
そうこうしているうちに明治は終わり、本書もそこで終わり。
現代はどうなのかまで語られていないので消化不良感があり、またハード的にどうこうではなく人々の認識の話でもあるので、なんだかはっきりしないフワッとした読後感。
終章の最後3行は鳩山由紀夫が書いてるのかと思ったが… ^^;


自分は宮城県に数年住んでいたことがあるが、“東北”ってのを意識することはあまり無かったかも。
奥羽山脈の上の夕焼け空を眺めて、あの下は山形県だなーと思った時に、あぁここは東北なんだーと改めて気付いたりして。
期間が短かったし、東北人の東北認識がどうなのかまでは分からない。
それに“西南”に住んだことも無いので、それとの比較も難しい。
自分にとっての東北は、住んでいた当時の、またそれ以外でも旅行先としての懐かしさばかりで、特段に後進的だとかのイメージは…
いや、正直なところそれもゼロではないかも知れないが。


明治の文章の引用が多いので、難しい漢字が沢山出てくる。
個人的には本の内容よりもそっちの方が面白かったりで著者には申し訳ない。

posted by 並句郎 at 22:09|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2015年05月25日

「黒船前夜」

150525.JPG洋泉社
渡辺京二 著
黒船前夜 ロシア・アイヌ・日本の三国志
(2010年2月17日初版、同4月10日第2刷発行)


副題に三国志とあるが、物語というよりは解説本のような。

で、“三国”といってももちろん“アイヌ国”というのは無い。
この点について、エピローグ(P349)にこうある。
アイヌ民族に衰亡を免れる途は存在したのだろうか。その唯一の方途がアイヌ民族国家の樹立であったことは明白である。

もし“アイヌ国”があったら何がどうなってたやら。
さらにアイヌは国だけでなく、文字も持たなかった。
なので記録も日露のものしかなく、なんとも残念。

結果、アイヌとその住む土地、及び、通商・国交をめぐっての日露関係史、のような。
タイトルは「黒船前夜」だが、1700年代初頭から1813年のゴロウニン(本書では「ゴローヴニン」)事件解決までが主に書かれている。
(ペリーの黒船は1853年)


類書を何冊か読んでいるが、それらと比べて背景が詳しい。
当時のロシア事情とか、日本なら北海道・松前氏関係などの解説もあるのだが、それ以前にそもそも自分自身が歴史を知らないなーと痛感。
もっと勉強しないととは思うものの多分特には勉強しないだろう ^^;
でもこの時代のこの地方にだけは何故か興味あるんだよなー。

その類書、例えば特定の人物について書かれた本などと比べると長期間が対象、言わば通史になっているので、詳しい背景解説とあいまって色んな事柄が繋がって見えてくる。
そしてそれが黒船に繋がっていくんだなー、と。
書き方も客観的に見えるし、自分のように興味はあれど勉強不足な人にはおすすめ。
勉強充分な人なら… 格別目新しくもないかも知れないかも。

posted by 並句郎 at 19:22|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2015年05月21日

「北海道 化石としての時刻表」

150521.JPG亜璃西社
柾谷洋平 著
北海道 化石としての時刻表
(2009年2月26日 初版第1刷発行)


札幌市中央図書館で『札幌発懐かしの鉄道旅行~定山渓鉄道からブルートレインまで~』というミニ展示をやっていた。
そこで借りてきた本。

帯より。

北海道の時刻表を“化石”に見立て、その鉄路と社会の変遷を過去のダイヤグラムから辿る──。
鉄道と北海道の歴史にまつわるエピソードを軸に時刻表の魅力を余すことなく紹介する、紀行あり、薀蓄あり、感動ありの時刻表讃歌!



なぜ「化石」か、は序章にあるように、「時刻表を「人間社会の変遷を刻み、情報を後代まで伝えるもの」と見る」から。

第1章は本州~北海道連絡、
第2章は北海道最長鈍行列車、
第3章は峠越え(北見・狩勝・塩狩)の、
それぞれの変遷。

第4章は明治~戦中までの時刻表掲載の広告評。
第5章は北海道の駅を擬人化しての架空座談会。


で。
時刻表・鉄道に関するありがちな薀蓄本か、と思いきや、これがまたなんとも。
筆者は執筆時おそらく23歳の自称“文学青年”(「終」より)で、漢検でいえば準1級・1級レベルの漢語や、ところにより旧仮名遣い、自作の詩(歌詞?)まで挟み込んでノリノリ ^^
こういう人なら無勉強で準1級を受けてもそこそこいい点が取れるんだろうなー、と。
とにかく書いていて楽しくて仕方ない、って感じ。


1~3章は鉄道趣味としてよくあるテーマだが、知らない話も出てきたし、特徴ある文体と合わせて面白かった。

鉄道に興味がなくても楽しめるのが第4章。
広告に見る世相、世相を映した広告。
イメージとしてはこんなので、まあ別に時刻表じゃなくても同じかも知れないが、例えば万年筆の広告では、なぜ旅行に万年筆を持っていくべきなのか、とか、時刻表ならではの部分が特徴的。

第5章は、宮脇俊三さんが同じようなことをやってたなーと思い出した。
あれは確か新書で、駅ではなく路線を擬人化したものだったが。
この筆者もそれを意識したのかも。
で、まあ本来は擬似座談会なんてあっても無くてもいいようなもの(失礼!)かと思うのだが、これがまた結構なページ数を占めていて、これをこそ筆者は一番書きたかったのだろうな、と思わせる書きっぷり。
これだけで1冊書け、と言ったら嬉々として書いてくれそう ^^


とにかく。
鉄道と北海道に興味があれば確実に楽しめる本。
そうでなくても第4章は面白い。
逆にそうでないと… 第5章は楽しめないかも。

まあ、クセがあるっちゃあるけれども、類書に食傷気味のかたでもこの本は是非読んでみて欲しい。

posted by 並句郎 at 21:29|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2015年05月12日

「サハリン島占領日記 1853-54」

平凡社 東洋文庫 715
ニコライ・ブッセ 著、秋月俊幸 訳
サハリン島占領日記 1853-54 ロシア人の見た日本人とアイヌ
150512.JPG(2003年4月23日 初版第1刷発行)


1853~54年のサハリン、
日本で言えば幕末の樺太での、
ロシア士官の日記。

書名は「サハリン島占領日記」と勇ましいが、実際には一集落(クシュンコタン、後の日本名=大泊、現在のロシア名=コルサコフ)の一角に“哨所”を築いただけで、戦闘などは無い。
“占領”と言いつつも日本人やアイヌを支配したわけでもなく、周辺調査の他には特別に何をするでもなく(と言っては失礼だが)、日記には無いがその後すぐ撤退したようだし、まあ言ってみただけ、か??
日本側にも記録はあるようだが、それほどの大事件とは見なされていないようだ。
占領されたってのに ^^
まあ、ただの日記であるからして、副題はもちろん書名も後付けなのだと思うが。


内容としては、ほぼ「ロシア人の見た日本人とアイヌ」という副題の通り。
その人間観察や著者の苦労話も面白いが、何と言うか土地が土地だけに、手付かずの大自然の中での大規模キャンプ!みたいな印象も持った。


略地図も載っているが、現在の地図を参照しながら読むのも面白い。
書中では「トープチ湾」となっているところが、Googleマップでは「ブッセ湖」となっている。
著者の名が取られたのだろうか?

あと、古くなるが、ということはこの本の書かれた時代に近くなるが、当ブログのタイトル背景に使わせてもらったテキサス大学のサイトの中のこの地図もいいかも。
その地図では楠渓町(Nankeicho)とされている所が、おそらくクシュンコタン。



読み物としては、三人称が誰を指すのか分かりにくかったり、何のオチも無くむしろこれからって時にプッツリ終わったりするのがアレだが、まあ元が日記だから仕方ない。
しかし日記にしては“読ませる”し、資料としても貴重なのだろう。
かなり客観的に書かれてもいるようだし。

この時代のこの方面に少しでも興味があれば、ぜひ。

posted by 並句郎 at 20:03|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする