2018年07月15日

「こうして新地名は誕生した!」

180715.JPGベスト新書
楠原佑介 著
こうして新地名は誕生した!
(2008年4月20日 初版第1刷発行)


いわゆる“平成の大合併”で誕生した新地名が問題だ! という本。
これとかこれとか、類書はたくさんあるが、新書で読みやすそうだったので借りてみた。

で、例えば、
「平成の大合併」では、全国各地でもうほとんど「珍名」「愚名」のオンパレードの感があった」(P70)
とか、そんな調子。
同感だ。


で、ただダメだと言うだけではなく、逐一代案が提示されている。
その代案、つまり本来はこう命名するべき、というところの考え方・方針が特徴的、かも。
その地域を指すのに適当な地名が現在無いなら、古い地名から探して用いよ、と。
つまり旧郡名や荘園名など。
前掲の「市町村合併で「地名」を殺すな」なんかでもそうした考え方が提示されていたし、基本的にはそれも良いとは思う。
が、それが現在のその地域の片隅にでも生き残っているならまだしも、現住人の誰も知らないような旧地名を古文書から発掘してでも採用すべき、とは自分は思わないし、現実問題として住民の同意が得にくいだろう。
字面や語感がよければ別かも知れないけれども。

日本列島は地球上でも最も歴史的・伝統的地名群が記録されている」(P24)と言うが、現在使われておらず古文書にしか見当たらないならそれは「伝統的」とは言えまい。
そんな化石をかつぎ出すぐらいなら、全く新しい名称を考案した方がまだいくらかマシだと思う。

著者は現代だけでなく近代に作られた地名もお気に召さないようだ。
古けりゃいいってものでもないと思うんだが…
いかに古かろうが所詮は人間がつけた地名だし、古文書に見えるからといってその当時その地域で確かに通用していたという保証も無いんじゃないの?
どうも古文書原理主義とでも言うか、そんな傾向がちょっとなんだかなーって感じ。


というわけで“代案”部分はやや疑問だが、問題提起部分は納得できるし勉強になる。
著者のウェブサイトもあるようだが、10年以上更新されていない。
1941年のお生まれとのことなので年齢的な問題かも知れない。
本を買ってもいないのに文句ばっかり言ってすみませんでした。

posted by 並句郎 at 22:40|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする