2012年04月24日

「訓読みのはなし」

光文社新書 352
笹原宏之 著
訓読みのはなし 漢字文化圏の中の日本語
(2008年5月20日 初版1刷、同6月15日2刷発行)


「再挑戦!漢字学習」というブログで紹介されていた本。
そのタイトルだけで是非読みたい!と思い、借りてきた。

著者は、時々見ている三省堂辞書サイト Sanseido Word-Wise Webでよく見かける。
「図解 日本の文字」の共著者でもあった。


目次。

第1章 訓読みの歴史
第2章 音読みと訓読み
第3章 多彩な訓読み
第4章 訓読みの背景
第5章 同訓異字のはなし
第6章 一字多訓のはなし
第7章 漢字政策と訓読み
第8章 東アジア世界の訓読み


▼(P39)
「国境」は「コッキョウ」と「くにざかい」とで、意味に重なる部分が実際にはあるのだが、川端康成の『雪国』の冒頭については、朗読などを行う際にその差が実際以上に強く意識されることもある(一般的には「くにざかい」説が力を得ている)。


「雪国」の「国境」の読み方について。
「くにざかい」説が有力、とのことだが、著者自身の見解は書いてない。
せっかくの機会なのに何故書かないのか、に興味があるぞ ^^


▼(P44)
「胃」(ヰ)も、胃腸をまとめた語(「くそぶくろ」など)は別として、その臓器そのものと一対一で対応する和語がなかったようで、字音が単語として定着した。


「くそぶくろ」ってのは初めて聞いたが、それはともかく。
「胃」だけでなく「腸」も、心臓などの「○臓」なんかも、多分全部音読みだな。
人体でも外から見える部分、頭・手・足・目・鼻・口… はほとんど訓読みなのと好対照だ。
古い時代の日本には人体を解剖する文化が無かったってことかな。
「完全征服」によると、「胃」の読みは音読みの「イ」のみ。
「腸」と「臓」には表外読みで「はらわた」があった。
「くそぶくろ」は無かった ^^


▼(P53)
日本人が「仏蘭西」(佛蘭西)を「フランス」と、字音にとらわれることなく読めるのも、やはり訓読みがある日本語だからこそである。


音読みなら「フツランセイ」などとなるはずのところが「フランス」と読めるのって、スゲーんじゃね?って話。
(いや、「スゲー」とも「すごい」とも書いてないが ^^; )
一方、中国語では「フォーランシー」、朝鮮語では「プルランソ」と、基本的に漢字の音通りの読みしかできない、とのこと。
まあ「フランス」とかならまだいいかも知れないけど、「イギリス」とか「オランダ」とか、日本の“訓読み”にも妙なのがあるけどもね。


▼(P85~86)
『大漢和辞典』には、「字訓索引」に、驚くような長い「(字)訓」が載っている。(中略)この索引の「訓」の中には、いわゆる訓読みとして実際に文章中で用いられて定着を見たものだけではなく、字義を解釈した文句までもが含まれているのである。


阿辻先生の本にも書かれていたが、大漢和辞典の「字訓索引」は「訓読み索引」ではない、と。
手持ちの漢和辞典にはいずれも「音訓索引」がある。
その説明には、「本書に収めた漢字の音訓を…」などとある。
「訓」については特に「訓読み」とは書かれていないが、見た限りでは「訓読み」を載せているようではあるが、さて。


▼(P226)
「私」は正式には「わたし」と読めない


ここで言う「正式」ってのは、常用漢字表に載っているってこと。
確かに従来は「私」に「わたし」の読みは載ってなかったのだが、新常用漢字表には載った。
この本の出版が新表決定の前なので仕方ないのだが、他にもこういう箇所があった気がする。
これから読むかたはその点ご注意を。

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この本を紹介していたYukiさんのブログ「再挑戦!漢字学習」で、「heyqlowの覚え書き」をリンクしていただきました。
こちらからもリンクしますので、皆様ぜひご訪問下さい。
漢検だけでなくTOEICにも挑戦、翻訳家を目指されているというすごいかたです。
自分なら、もしTOEIC受けろって言われたら泣きます ^^;
posted by 並句郎 at 00:11|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする