2012年01月31日

「漢字の相談室」

文春新書 702
阿辻哲次 著
漢字の相談室
(2009年6月20日 第1刷発行)


「なぜ○○は××なんですか?」みたいな質問に対して著者が答える形式、だが、それはあまり関係無い。
その質問(12個)をネタにした漢字についての蘊蓄本。

しんにょうの点がひとつとふたつでどう違うのか、とか、
漢字はいつごろできたのか、とか、
「虹・蛸・蛤」に虫へんがついてるのはなぜか、とか。

漢字好きなら気楽に楽しく読める。


▼(P14)
意外に感じられるかもしれないが、古代中国では象が野生動物として存在していた。


へぇ。
だからこそ、「象」の字は象形文字として生まれた、と。
なるほど。
ところで「龍」も象形文字だそうですが、すると古代中国には龍もいたんでしょうかね?
…なんてこと言うのは野暮ですか ^^;


▼(P34)
「道」とか「進」などの漢字に使われている《辶》の部分を、あなたはなんと呼んでいるだろうか。つまり「しんにょう」と呼ぶか、それとも「しんにゅう」と呼ぶか


著者は「しんにゅう」派だそうだが、最近の学校教育では「しんにょう」なので、この本では「しんにょう」と書く、と。

自分の場合、もともとは"無派閥"だった。
学校でどう習ったかは覚えてないが、どっちでもいいはず、という認識だった。
が、「にょう」を「繞」と書くのだと知ってからは「しんにょう」派。
「繞」の字に「にゅう」という音は無いし、他にも「ナントカにゅう」というのは聞いたことが無い。

しかし、するとなぜ「辶」は「しんにゅう」とも呼ばれるのか。
ちょっとググった限りでは、単に訛っただけのようだ。
じゃあなぜ「辶」だけが訛ったのか…
本当は訛ったんじゃなくて、誰かが「ょ」を「ゅ」に書き間違えたんじゃないのか、と、これは自分の勝手な想像。


▼(P107)
(「」という字について)「ほねとかわとがはなれるおと」が一部の人々に「訓読み」と考えられたのは、漢字に関する分野では日本でもっとも権威がある『大漢和辞典』という有名な辞書の「字訓索引」に「ほねとかわとがはなれるおと」という項目があるからにほかならない。しかしその記述が見えるのは「字訓」索引であって、「訓読み索引」とは書かれていない。


一番長い訓読みは何か、という質問に関して、「ほねと…」は「訓読み」ではない、と。

「ほねと…」だったか忘れたが、そういう「長い訓読み」の話をどこかで読んだ記憶がある。
が、こういうのは「訓読み」ではなく「字訓」である、と。
そういえば、これもどこで読んだのか忘れたが、「訓」というと現代日本では読み方の一種だと思われがちだが、本来は「意味」のことだと。
漢和辞典で「訓」を見ると、この字を「読み方」とするのはやはり日本語独特の用法のようだ。

まあ読み方がなんであれ、「骨と皮とが離れる音」を一文字で表す漢字があるってことがすごい。
「砉」は手持ちの漢和辞典に載っていたが、訓読みは無し。
音読みは「ケキ」・「カク」。
漢検では対象外のようだ。

posted by 並句郎 at 22:56|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする