2012年01月17日

「漢字伝来」

岩波新書 1031
大島正二 著
漢字伝来
(2006年8月18日 第1刷発行)


目次。

第1章 漢字が日本列島にやってきた
第2章 〈漢字文化〉の伝来
第3章 漢字・漢文学習の本格的な開始
第4章 漢字文化の確立
第5章 漢文の日本語化が始まる
第6章 漢字“日本語化”の完成
補 章 日本漢字音と中国原音の関係を知るために


本のタイトルは「漢字伝来」だが、内容は目次で分かるとおり、伝来後の日本の中での咀嚼・定着・変化・発展などの方がむしろ主。


▼(「はじめに」より)
本書は、以上のような漢字がたどった“日本語化”への道程を追跡し、私たちの祖先がどのようにして漢字・漢文を自家薬籠中のものとし、なぜそれができたのかを(中略)探ろうとするものである。


…てな内容で、

「漢字かな混じり文の精神」
「日本語と漢字文明」
「図解 日本の文字」

などと重複する部分も多いが、まあ何冊読んでも悪いこたー無いよね。
面白かった。
補章だけは自分には難解で興味の外でもあったが。


▼(P78)
(平安時代の末に編纂された古代最大の漢和辞典)『類聚名義抄』は多くの漢籍や仏典につけられた〈訓(よみ)〉を集大成して示しているが、例えば
「治」についてみると、「ヲサム・ハル・タモツ・ヒラク・ホル」など14の〈訓〉が、
「行」には「ユク・ヤル・イデマシ・アリク・サル」など40、
「方」には「ヒラ・ツネニ・ノリ・ナラブ・ウルハシ」など37もの〈訓〉をあげている。
(中略)
このような、一字に対する多くの〈訓〉は、時代の経過とともに整理され、しだいに限られた〈訓〉に固定していった。



漢字の読みが平安末の時点でそんなに沢山あったとは…
読みってのは時代を経るにしたがって徐々に増えていったのかと思ってたが、いや、実際そうして増えたものもあるだろうが、どっちかというとむしろ逆だったようだ。


▼(P81)
「菊」のように、いったん「カラヨモギ・カハラオハギ」(中略)のように〈訓〉があたえられながら、人びとがその長さを敬遠したためであろうか、ほどなく「キク」(『古今和歌集』)のかたちがあらわれ、それまでの〈訓〉が失われるといったようなこともおこっている。


「菊」の「キク」が音読みだと知った時は意外に感じたが、そういう理由だったのか。
「長さを敬遠した」ってのは著者の想像のようではあるが…

posted by 並句郎 at 18:04|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする