時刻表編集部OB編著
「時刻表」はこうしてつくられる 活版からデジタルへ、時刻表制作秘話
現在の「JR時刻表」の、その前身の創刊(昭和38年)から「JR編集時刻表」になる(昭和62年)あたりまでの制作現場の話がメイン。
「時刻表編集部OB編著」となっているから、そのあたりの時代のOB氏が主に書いたんだろう。
だからタイトルも「~つくられる」より「~つくられ(てい)た」の方が正直かも。
で、まあやっぱり、あんなものを作るのは、そりゃ大変だよねぇ。
それはよく分かったのだが、自分の場合には時刻表といえば交通公社版のもので、前身時代も含めてJR時刻表を買ったことはおそらく1回しかない。
なので、この本を読んでいてもどこか他人事のような気がしていたが、まあ交通公社版でも現場は似たようなものだっただろう。
(交通公社(JTB)版の舞台裏については、以前別の本で読んだ)
とにかくまあご苦労様でしたお世話になりましたと言いたくなる本。
興味深かったのは、国鉄がJRに変わる際に、その公式(?)時刻表が交通公社版から(当時の)弘済出版社版に変わる話。
以下抜粋。
▼(P126~128)
昭和61年11月中旬のことであった。国鉄本社から弘済出版社に1本の電話が入った。「弘済出版社で、分割民営化後の新会社用の時刻表制作ができますか?」
「新しい時刻表」の制作が弘済出版社に投げかけられたのである。
国鉄では新会社誕生の際、従来の「日本交通公社」の時刻表をやめ、それに代えて自前で時刻表を作る案が以前から存在していたという。そして、その白羽の矢が、当時は鉄道弘済会の子会社である「弘済出版社」に向けられたのである。
新会社の「公式時刻表」を自分のところで制作することになるとは誰ひとりとして考えていなかった。
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それまでは交通公社版が「国鉄監修」をうたっていたのに、JRになったらJRが自前で作る案があった、と。
しかし、想像するに、あんなものを自前でゼロから作るのは困難ってことで、当時「大時刻表」を作っていた弘済出版社に話が来たのだろう。
で、なぜJRは交通公社版を使い続けようとしなかったのか、そこを書いて欲しかったところだが、色々と事情があって書けないのかな、とも思う。
そのあたりをググってみたが、どれも噂話の域を出ない。
ともあれ弘済出版社はその話を受け、JRの公式時刻表を作ることになった。
作る、と言っても、既存の「大時刻表」を少々手直しすれば済む… わけではない。
何よりサイズが違う。
大時刻表はA4判。
JR時刻表はB5判。
ほぼほぼ丸っきり新しく作り直すってことになるのだろう。
11月中旬に最初の電話が来て、発行は翌年3月20日。
そりゃあ想像するだけでも想像を絶する困難だったか、と ^^
そうして無事発行された「JNR編集時刻表」(4月号)。
自分も当時それを入手したかったのだが売り切れでダメだった。
仕方なく、代わりに交通公社版を買った。
表紙や背表紙に「国鉄監修」の文字が無いことに違和感を覚えつつ…
ニュースページや、あとがき的なところを見てみたが、国鉄監修ではなくなったことについては何も書いてない。
まあ、まさか恨み節を書くわけにもいかないだろうけれども。
そして翌月、弘済出版社の「JR編集時刻表」(5月号)を買った。
これがJR時刻表を買った唯一の時。
しかし交通公社(JTB)版にしても、最近はめったに買うことは無い。
手持ちの中で最新なのは、2000年3月号。
(JR時刻表では2007年12月号の貰い物がある)
旅行機会が減り、鉄道趣味からも離れ気味なこともあるが、道民としては道内だったら道内時刻表で事足りるのでね。
…えーと、とにかく。
時刻表好きなら楽しく読める本。
そうでない場合は… どーかな?