2013年05月31日

準1級配当漢字 懷古寫眞舘174 「鍾」

乳洞。
kaiko174.JPG




岡山県の満奇洞(まきどう)。

撮影は1985年の夏。
近くの井倉洞と続けて見物。
外は暑く、洞内は寒く、の繰り返しで体がおかしくなった。
これからの季節に行くかたはご注意あれ。


「完全征服」によると「鍾」の読みは、
 音読み=ショウ
 訓読み=さかずき・あつ(める)・つりがね

訓読みは「あつ(める)」しか覚えてなかったな。

手持ちの漢和辞典を見てみる。
訓読みとして「あつ(める)」はどの辞書にも載っており、ほか「あつ(まる)」などもあるが、それ以外では漢語林に「かね」が載っているだけ。

字義解説の中には、それらの他にも、例えば漢語林では
 かさねる・増す
 当たる
 あたえる・さずける
 さかつぼ
 容量の単位
 父・しゅうと・としより   …が載っている。

で、どうやら「さかずき」よりも「さかつぼ」が本来(?)のようで、解説でも必ず「さかつぼ」の方が先に書かれているし、5冊中4冊には酒壺の絵が載っている。

そんなこんな中で、漢検認定の訓読みは「さかずき・あつ(める)・つりがね」。
それでいいのかなぁ?
混乱するから「あつ(める)」だけにしておいた方が…


一応。
音符の「重」には意味付けもされている。
漢語林では「金属製の重いさかずきの意味」とあり、
旺文社漢和では「充ジュウ」に通じて「みたす意」とある。



ところで、「鍾乳洞」というネーミングもなかなか。
乳状の(ような)ものが「あつまった」洞、という解釈でいいのだろうか。

「鍾乳石の洞」なのかも知れないが、「鍾乳石」だとすると、「あつまる」よりも、上の字義の中の「かさねる・増す」の方が近いような気もする。

posted by 並句郎 at 23:07|   寫眞舘各記事 | 更新情報をチェックする

2013年05月28日

「漢字の現在」

三省堂
笹原宏之 著
漢字の現在 リアルな文字生活と日本語
(2011年9月10日 第1刷発行)


三省堂のサイトでの連載をもとにした本。
連載の目次で言うと100回前後までの記事がもとになっているようだ。

その中に、この本についての記事もある。
 第120回 漢字の現在、単行本に
 第121回 『漢字の現在』単行本化と画数の多い漢字



2章に分かれる。

 第1章 日本の漢字の現在
 第2章 海外から見た/海外に見る漢字の現在

第2章の「海外」とは、主に中国・韓国・ベトナム。
個人的にはその辺の事情にさほどの興味は無いので、第1章が面白かった。

タイトルどおりの「漢字の現在」についてあれこれと、しかし突っ込んで書かれる。
漢字だけでなく、かなや記号、言葉についても。


「~であろう」
「~だろうか」
…のような書き方が多く、「明快にズバッと解説!」みたいな感じではないのでイマイチすっきりしない印象はあるが、まあ著者も神様ではないので仕方無いだろう。



▼(P18)
電子辞書の類から倉卒の間に引き写しを


「倉卒」という言葉を知らなかった。
大辞泉より。
 そうそつ【倉卒/草卒/怱卒】
 1 突然であること。また、そのさま。だしぬけ。

  (2・3略)


▼(P26)
実際に使用された例を鏤めてみた。


「鏤めて」が読めなかった。
文脈から「まとめて」か「あつめて」かと思ったが、辞書を見ると…
「ちりばめて」か。
ルビ無しじゃ読めませんよ先生 ^^;
漢検1級配当。


▼(P154)
(「幼」は)部首が音符を兼ねるという、比較的珍しい漢字ということになる。


「幼」は、部首の「幺」が「ヨウ」という音符を兼ねる形声文字、という話だが…
手持ちの漢和辞典5冊中、漢辞海・新明漢・新選漢和では会意文字となっている。
旺文社漢和では会意形声文字。
唯一、形声文字としているのが漢語林だが、その漢語林だけは部首が「力」になっている。
 ([参考]として、「もと、幺部に所属した。」の注記あり)
ともあれ、例のところに追加しておく。


▼(P22)
「最も画数の多い漢字は何か」。巷間、問われることの多い命題に関して考えてみよう。


命題…
先生ともあろうお方が…
それとも承知の上で敢えて書いてるのだろうか?
うーん…

posted by 並句郎 at 23:44|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2013年05月25日

準1級配当漢字 懷古寫眞舘173 「錨」

高千穂丸の
kaiko173.JPG



川崎港。
撮影は1986年。
以前「舷」を載せた高千穂丸の川崎到着後。


「完全征服」によると読みは、
 音読み=ビョウ
 訓読み=いかり

漢和辞典を見るともちろん「苗」が音符だが、それに意味を持たせている記述は無かった。
純粋な形声文字だろうか?

考えてみると「ビョウ」という音で音符に使えそうな字って、他にあまり無い気がする。
漢字辞典ネット様で「ビョウ」と読む字を検索すると、次の通り。

猫 廟 描 病 秒 苗 錨 鋲 平 妙 屏 弸 杪 渺 眇 緲 萍 藐

音符として使えそうなのは、「苗」じゃないとすれば「平」ぐらいかね。
あとは「丙」とか「兵」とか…
「少」が多いが、漢語林で「秒」とか「妙」を見ると、その音符の「少」は「眇」の省略形らしいし。
やっぱ「苗」が一番素直かな。
古代中国語の知識の無い人間が現代日本語で考えて、の与太話だが。


「いかり」と言えば、もう一つ「」も準1級配当。
使い分けとしては、金属製なのが「錨」、石製なのが「碇」かね?
漢語林の「碇」の項には、「もと石で造り、後に鉄で造る」とある。
だからまあ金属製の「碇」も間違いじゃなさそうではあるけれども。

ちなみに、いかりや長介さんの本名は「碇矢長一」。

posted by 並句郎 at 20:46|   寫眞舘各記事 | 更新情報をチェックする

2013年05月21日

「暗黒水域」

文藝春秋
リー・ヴィボニー & ドン・デイヴィス 著、三宅真理 訳
暗黒水域 知られざる原潜NR-1
(2004年1月30日 第1刷)


アメリカで1969年に進水したNR-1という原潜の誕生から現在まで。
潜水“艦”と言っていいのかどうか、海軍所属だが魚雷も何も持っていない。
潜水調査艇とか呼ぶべきかも。

その特徴としては、
・動力は原子力(なので長期の潜行可)
・深海可
・自律航行可
・窓や腕などによる目視調査・作業可
…ってとこかな?

特徴を生かした秘密任務が多いため、「知られざる」ことになった。


▼(P207)
(NR-1の)テクノロジーはかつての複葉機からジャンボ・ジェットへの変化にも匹敵するほどの、過去五十年の潜水艦の常識を根底から覆すものであった。


…とのことで、誕生の経緯が、と言うか、まず誕生させた人物が特殊 ^^
そういう艇であるからして、建造や、乗組員の選考・教育もまた特殊。
全21章だが、7章でやっと進水という構成からもそれが窺える。
著者の一人、リー・ヴィボニー氏は実際の乗組員だった人物なので、その実体験として語られる。

で、8章以降、テストを経て任務に就き、困難を克服しつつ実績を挙げていく。
戦闘シーンがあるわけでもなく、特別にドキドキワクワクする話でもないが、まあ面白い。
実話だと思えば尚更。

このNR-1、本の中では最後まで現役だが、ググると2008年に退役したようだ。
ちなみに「NR」というのは、原子力委員会海軍原子炉部の頭文字とのこと。(P39)
「NR-2」の構想もあったが実現はしなかった。



ところでこの「暗黒水域」というタイトルだが…
水域」と言うと、平面の地図(海図)にプロットできる範囲、のようなイメージがある。
大辞泉を見てみると、「水面上の一定の区域」とある。
やっぱそうだよなぁ。
しかしそれはこの本のタイトルとしてはふさわしくない。

原題は「DARK WATERS」。
これがどういうニュアンスでありどう訳すべきなのか分からないが、潜水艦の話でもあり、「水域」ではなく深さの範囲、「深度域」とでもするべきかと。
なので「暗黒の深度域」か?
早い話が「深海」???
まあともかく、「水域」の話ではないことは確か。

posted by 並句郎 at 22:38|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする