2012年01月23日

「静かな大地」

岩波書店 同時代ライブラリー162
花崎皋平 著
静かな大地 松浦武四郎とアイヌ民族
(1993年10月15日 第1刷発行)


まず序章を読んで、それ以上読むのを止めようかと思った。
著者が、どうやら市民運動に関わっている人物のようだ。
胡散臭さ100%。
さすが岩波書店 ^^
それでも取りあえず先を読んでいけば、まあ我慢できないほどでもなかったが、それでも例えば、

▼(P174)
現在ソ連領となっているクナシリ、エトロフ両島

▼(P277)
「人権」という外来の言葉をふりまきながら、そのじつ、それがなかなか身につかない今日のわれわれの社会

▼(P285~286)
現今の日の丸・君が代の強制-とくに沖縄での-と似た理屈とやり方だなあ、と私など思ってしまう。


など、あぁやっぱり… ってな部分もちょいちょい。
Wikipediaで著者の項目を見るとさらに納得できる。

アイヌの人達も、もしも、もしも本当に民族の復権だとかを訴えたいんだったら、こういう人物とは距離を置いた方がいいと思うんだけどね。



本の内容。

▼「あとがき」より
稀有の記録者である松浦武四郎という人物の目と筆をとおして、幕末期蝦夷地でのアイヌ民族に対する和人支配の実態をみつめることを、主なねらいとした。


ということで、松浦武四郎の蝦夷地探検記を追いながら、和人の横暴とアイヌの困窮が書かれている。
著者がアレなだけに眉唾で読まざるを得ないが、まあそれでも和人のやり方はひどい。
松浦武四郎はその実態を調査し、改善をお上に訴える。
松浦がそういうスタンスだったってのは初めて知った。
言い掛かりやでっち上げでしかない某国のあれやこれやなどよりも、こういう歴史を日本人は知るべきだ。
北海道の歴史に興味のあるかたには、著者のアレな部分を無視できるならおすすめ。

ただ、振り仮名が少なめ。
準1級とはいえ漢検の勉強がいくらか役に立った気がするが、他の本を読む時よりも辞書のお世話になった。
漢字といえば、著者名の「皋」は「皐」の異体字だね。
「皋平」で「こうへい」と読むらしい。

なお、この著の最初の刊行は1988年。
元は1987年からの雑誌連載。
なので、最初の引用の「現在ソ連領」ってのは間違いではないが、でも間違い。
著者の脳内ではどういう理解なのか知らないが。



以下、蛇足の覚え書きの抜き書き。

▼(P191)
(「ビワセ(=琵琶瀬)」の地名について)アイヌ語のピパセイ(ピパは川貝、沼貝、セイは貝殻)で、このあたりの川にピパが多いためと、『戊午日誌』にも記されている。


▼(P206)
(「マシウ(マシュウ=摩周)」の地名について)武四郎が案内のアイヌから聞いたいわれはこうである。
 マは泳ぐ、シュウは鍋。この湖は川口がなくてまるい鍋のようであり、岸辺の山が夕陽を受けて湖面に影をおとすと、そのかたちが人の泳ぐようであるところから、泳ぐ・鍋と名がついたのだ、と。



「摩周」の由来をググると、上記のような説はごく少数派。
この説が知られていないのか、それとも却下されているのか。

posted by 並句郎 at 21:49|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする