PHP研究所
呉善花 著
漢字廃止で韓国に何が起きたか(2008年10月3日 第1版第1刷発行)
目次。
Ⅰ 漢字廃止・ハングル専用政策の災禍
1 漢字を廃止した韓国人が失ったもの
国民の70パーセントが漢字復活に反対している
ある日突然漢字が廃止された
膨大な同音異語から起きる混乱
漢字語を排して独自に概念語をつくろうとした計画の挫折
言文一致の強化がもたらしたもの
言葉の概念の広がりと深さを失った韓国人
2 韓国漢字復活の難関
3 韓国語に漢字訓読みの導入を
Ⅱ 韓国の言い回し
Ⅲ 韓国のことわざ
ⅡとⅢは、ページ数はあるものの、おまけみたいな感じ。
肝心なのはⅠだが、そこは『「反日」を捨てる韓国』という本からの再録らしい。
で、タイトルの、漢字廃止で韓国に何が起きたか、については、そこだけ全項目を載せたが目次のⅠの1の通り。
つまり、
▼(P25)
韓国語の語彙は、日本語以上に漢字語の影響が強く、一般の文書で使われている語彙の約70パーセントが漢字語で、公文書となると90パーセント以上が漢字語だといわれる。▲
「漢字語」ってのは、日本語の場合で大雑把に言えば音読みする部分ってことだと思うが、その漢字語が多いところで漢字表記が廃止されてハングルだけになり、
▼(P31)
電気、電機、戦記、戦機、前期、全期、転機、伝記、転記などがすべて同じ発音となる。▲
これらが発音だけでなく表記まで同じになれば(ハングルは表音文字なので)、そりゃ混乱するだろう。
マジかと思って
exciteで日→韓翻訳してみたらマジだった。(↓クリックで拡大)

なので、特に同音異義語ではよく使われる語だけが残り、他は廃れていった、と。
それじゃ困るからってんで、漢字廃止論者たちは、
▼(P34)
漢字語そのものを廃止し、新たに造語していくことが必要だと考え(中略)
一例をあげると、内容-中の肌、団体生活-集まり暮らし、胃-ご飯の缶▲
などの新語を作ってみたりしたものの、世間には受け入れられなかった。
そんなわけで…
日常よく使われる漢字語だけが同音異義はそのままに音だけが残り、
しかしその音の由来、つまり漢字による原義は忘れられ、
他の、使用頻度の低い(が不可欠な)多くの語は失われ、
その代わりとなる語も普及せず、
という悲惨な状態。
するとどうなるかと言うと、
▼(P38)
(呉之湖氏によれば)
彼ら(学生)は漢字を知らず、抽象度の高い漢字語の概念語を知らないから、外国語の専門書などはほとんど理解できていない(中略)
自分の国の言葉で書かれた新聞すらまともに読めない者など、人類の歴史上どこにも探すことができない。▲
てなことになり、その結果、
▼(P42)
いまの韓国語では深遠な哲学や思想の議論はまず成り立たない。(中略)
ハングルだけで世界的な水準を持った哲学論文を書くこともほとんど不可能である。▲
と。
ということは、例えばこの本をハングルにして朝鮮人に読ませて啓蒙しようとしても、おそらくまともに理解されることは無いんだろう。
ハングルの表音文字としての性能は知らないが、仮に完全無欠だったとしても、それにこだわった結果が、新聞もまともに読めない国民の量産とは…
よほど優秀な人物か、または著者のように国外に出るなどして外国語を充分に習得した者だけしかその惨状に気付くことができないという惨状。
一言で言えば「やれやれ」ってとこかね。
ただ、このⅠの初出は2000年とのことなので、その後10年余で状況は変わってるかも知れない。
ひょっとすると悪い方に変わってるかも知れないけど。
ともあれ、日本では漢字が廃止されなくて本当に良かった。