2011年08月31日

「図解 日本の文字」

三省堂
沖森卓也・笹原宏之・常盤智子・山本真吾 著
図解 日本の文字
(2011年5月20日発行)


漢検生涯学習ネットワークの会員通信で「新刊紹介」されていた本。

日本の文字についての本であるにもかかわらず、まず、表紙の図柄が、こりゃどう見ても物理の教科書。
で、中味も横書きで必然的に左開き。
まあ、ローマ字などについての記述もあるしね。
どうでもいいんだけど。

で、各ページの4割ぐらいが脚注のスペースで、資料の写真やらなんやらが豊富。
さすがは「図解」。
索引もあるし、これはつまり“読む本”ではなく解説書・教科書、あるいは事典かも。

目次。
第1章 総説
第2章 漢字
第3章 仮名
第4章 ローマ字
第5章 補助符号
第6章 表記法
第7章 文字と社会


▼「まえがき」より(帯にもなってるが)
日本語の文字表記は多様である反面、多元的な歴史的背景を持ち、複雑な点も少なくありません。そこで、不明な点を解決したい、初歩から学びたいというような、日本語の文字や表記に興味を持つ方々のために本書を編集しました。


…とのことなので、そういう“方々”は読んでみて損は無い。
まあ、人によって興味ある部分はまちまちだろう。
自分の場合はやっぱ漢字がメインだが、それでもその他も楽しめる。
発音の話なんかは眠くなるが ^^;


▼(P44~45)
「洗滌」のように、本来「滌」はデキと読むべきであるが、形声の音符「條(条)」にひかれてジョウと読まれるようになるなど、誤った類推に基づくものもある。慣用音のうち、このように、漢字の旁の音符にひかれて誤った類推から定着した読み方を、特に「百姓読み」と言う場合がある。


おぉ。
あのおなじみの手法(?)に名称があったとは。


▼(P60)
「仕事」「試合」「支払い」のように、「し」(和語のサ変動詞)に漢字を当てたものは、常用漢字表などで公認されている。これらは当て字だが、そのことがほとんど意識されていない。


へぇ。
「仕事」「試合」「支払い」は当て字だったのか。



(P68)(「平仮名」は)「平易で一般的な仮名」の意
(P75)(「片仮名」の)「片」は不完全の意


それも考えたこと無かったな。


最初から最後まで通して読む必要は無い。
研究者でもない一般人なら、面白そうなところだけ拾って読めばいいかな、って感じ。
いや、しかし、卑しくも漢検生涯学習ネットワークの会員ならば、じっくり全部読むべき、なのか? ^^;

posted by 並句郎 at 12:40|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2011年08月30日

魚祭

さかなまつり、ではない。

北海道新聞のコラム「卓上四季」にこんな記事が載っていた。

▼(抜粋)
サンマを「秋刀魚」と書き表すようになったのは、いつごろからなのか。
かつては「青串魚」とも「三馬」とも書かれた。「魚へん漢字講座」(新潮文庫)によれば、江戸時代に本来はコノシロを指す文字「☆」をサンマの魚名漢字に用いた例がある。<河岸にサンマが入荷すると、お祭り騒ぎになったから>という。

(注)☆は「魚へん」に「祭」




その「☆」は、表示されればこの字→「」。
手持ちの漢和辞典には載ってない。
Wiktionaryにも載ってない。
漢検1級配当でもなさそうだ。

「このしろ」で国語辞書を見ると、「」と並んで載っている。
「鮗」の方は漢和辞典にも載っているし、漢検1級配当のようだし、「このしろ」は「鮗」としてもらって、[魚祭]の方は「さんま」に譲ってもらえないかねぇ…

魚へんの一文字でサンマと読む漢字が、世間でもっと認知されてもいいと思う。
明石家さんがこの字に改名すれば一気に広まるのだが… ^^;

posted by 並句郎 at 12:47| 漢字 | 更新情報をチェックする

2011年08月29日

漢検1級 模擬試験

新星出版社の「1級 漢字検定試験 問題と解説」(2001年度版)に模擬試験問題が5回分ついている。

受検前提で1級を勉強したわけではないので何の意味も無いのだが、野次馬根性でやってみた。

結果。(200点満点 = 読み50点 + 書き150点)
 第1回 119点 = 43点 + 76点
 第2回 120点 = 34点 + 86点
 第3回 115点 = 37点 + 78点
 第4回 108点 = 32点 + 76点
 第5回 108点 = 34点 + 74点

第1回の読みだけなら合格!なんだが…


毎回、外国地名の読み問題が3問出る。
第1回は… 紐育・和蘭・伯林。
ニューヨーク・オランダ・ベルリン。
これは1級としては簡単すぎなのでは?


」を旧字体に改めよ、という問題。
正解が「」となってるが、違うよねぇ?
いや、どっちにしろ分からなかったけどさ ^^;
おそらく「懷古寫眞舘」の「」の旁になって、正解は「」だろうと想像はできたが、書けなかった。
この際だから練習しておこう。
 …何この猫ヒゲ。


「ヌカミソ」を国字で書け、という問題。
正解は「」。
高島俊男センセイのおかげで正解できました!
ありがとうございますセンセイ!

posted by 並句郎 at 12:15| 漢字 | 更新情報をチェックする

2011年08月26日

準1級配当漢字 懷古寫眞舘095 「斑」

牛の 模様。
kaiko095.JPG




1996年、北海道浜中町霧多布(きりたっぷ)。

実物の牛じゃないが ^^;
幸か不幸か、牛の横断には遭遇しなかった。


霧多布の中心部が島だってのは、この時、現地に行って初めて知った。
1960年のチリ地震津波で北海道本島から切り離されたんだとか。
地図で見る限り島の名前というのは特に無いようだが、まあ「霧多布島」ってことになるのかね。
元は「霧多布半島」だったようだし。
「"霧多布島"」でググると、約 170 件と多くはないものの使用例がある。



で、ええと、霧多布じゃなくて「」か。

「完全征服」によると「」の読みは
 音読み=ハン
 訓読み=まだら・ふ・ぶち

旺文社漢和辞典によると、左右の「王」は元は「辛」で、「」が音符とのこと。

で、[注意]として
ハン」は別の字。
とあるのだが…
最近、「目」で「まだらめ」っていう人がニュースに出ている。
」でも「まだら」なのか?
漢和辞典によると、読みは載ってないものの、「」に通じるとして「」にも「まだら」の意味があるようだ。
漢和辞典に載っているということは、まあ元々は昔の大陸の誰かの誤用かな、と思うが、「目さん」の場合はひょっとすると日本での届出時のミスかも知れない。
どうなんでしょうかね目さん?
あ、今はそれどころじゃありませんよね失礼しました。

posted by 並句郎 at 12:44|   寫眞舘各記事 | 更新情報をチェックする

2011年08月24日

「鉄道連絡船のその後」

成山堂書店
古川達郎 著
鉄道連絡船のその後
(2002年1月28日 初版発行)


100ページほどの薄い本。
うち、4分の1ほどは巻末資料。
で、要諦であるはずの「終航後の鉄道連絡船」(第2章)は20ページ程度。
本のタイトルに期待するとがっかりするかも。

取り上げられているのは、青函・宇高・宮島の各航路の、国鉄からJRへ移された各船(補助汽船含む)と、JRで新造された宮島航路のみせん丸(4代目)。
それらの終航時の様子とその後など、それと、「落穂拾い」と題して雑学的な小ネタがいくつか書かれている。


10年近く前の本なので、書かれている“その後”についてはさらにその後の動きも当然ある。
つまりは解体(T-T)とか。
Wikipediaなど参照。

東京・船の科学館の羊蹄丸はこの9月いっぱいで展示も保存も終了になるらしい。
ただいま、無償で引き取り手募集中。(PDF)
「譲渡先が見つからない場合は、解体・解撤を行う予定」とのこと。
そこの超お金持ちのあなた、なんとか面倒みてやってもらえませんかね?



ところで「解撤」って語は初めて見たな。
国語辞書によると、「解体し、撤去すること。」

それなら「解体・解撤」ではなく、「解撤」だけか、「解体・撤去」と書くべきかと思うが…

ググってみると、「解撤」はどうやら船の場合によく使われる語のようだ。

posted by 並句郎 at 12:44|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2011年08月22日

剛毅木訥

剛毅木訥
ごうきぼくとつ。


ダイソー四字熟語辞典によると意味は、

意志が強く、飾り気がないさま。

解説(抜粋)によると、

木訥」は「朴訥」とも書く。
原典には「剛毅木訥は仁に近し」とある。


とのことだが、この「ぼく」は「素」や「純」の「」と同じだろう。
「素」や「純」を「素・純」とは書かないだろうし、「朴訥」も「」ではありえない気がするのだが。
原典が「」ならば逆らえないのか…


まず、「ぼくとつ」を国語辞書で見てみる。

大辞泉
大辞林

朴訥」「木訥」の順序は違うが、どちらの表記もアリのようだ。


次に漢和辞典を見てみる。

旺文社漢和辞典。
」の項に熟語「朴訥」が無い。
」の項には「木訥」が載っている。

漢辞海。
」の項に「朴訥」が、
」の項に「木訥」がそれぞれ載っている。

木訥」がやや優勢?


次にググってみる。

すべての言語を検索。
 "朴訥"=約 326,000 件
 "木訥"=約 550,000 件

日本語のページを検索。
 "朴訥"=約 304,000 件
 "木訥"=約 51,300 件

うーむ。
中国語では「木訥」優位だが、日本語では「朴訥」優位ってことかな?
と言うか、「朴訥」はほとんど日本語でしか使われないのか?
だから旺文社漢和辞典には「朴訥」が載ってないのか。
…まあ、ググったページの中味を見てないし、あまりに短絡的かも知れないが。


なお、漢和辞典を見ると「」にも「飾り気が無い・素直」などの意味があり、その意味での熟語・用例が「木訥」以外にもある。

一方、「完全征服」によると、常用漢字「」の表外読みに「すなお」がある。
」にはそういう読みは無い。


で、とにかく、一応、と言うことは…
「剛毅ぼくとつ」の場合は原典も尊重して「木訥」、
それ以外の、普通の日本語の中では「朴訥」が、より適当なのかも。
以上、素人の勝手な結論。

posted by 並句郎 at 23:38| 漢字 | 更新情報をチェックする

2011年08月19日

準1級配当漢字 懷古寫眞舘094 「葵」


kaiko094.JPG


タチアオイ、だと思われる。
1989年、五能線 陸奥岩崎駅前。
青森県。

「葵」を旺文社漢和辞典で見ると、

[解字]
形声。
艹(草)と、音を表す癸
(まわる意→揮)とで、
日の方に花を傾ける草の意。
(ただし、今のひまわりではない)



形声文字となっているが、「癸」は単なる音符ではなく、「まわる」という意味も含んでいるようだ。

確かにヒマワリは「向日葵」と書くし…
が、「今のひまわりではない」ということは、「向日葵」ではない普通の「葵」も向日性があるのだろうか。

Wikipediaで「アオイ」を見ると、

アオイ(葵)という名は、元はフユアオイなどを指し、「仰(あおぐ)日(ひ)」の意味で、葉に向日性があるためという。

とある。

葉?
花じゃないの?
まあとにかく、そんな性質が多分あるんだろう。

その辺に関係して、“君主の方を向く”ような意味合いで「葵傾(キケイ)」などの熟語がいくつかあるようだ。
漢検準1級で満点を目指すかたはご確認を。

posted by 並句郎 at 20:51|   寫眞舘各記事 | 更新情報をチェックする

2011年08月18日

「ヘマな奴ほど名を残す」

中公文庫
ピーノ・アプリーレ 著、泉 典子 訳
ヘマな奴ほど名を残す エラーと間違いの人類史
(2008年7月25日 初版発行)


別に名を残したいわけじゃないが、書名につられて読んでみた。

著者は、1950年生まれのイタリアのジャーナリスト。

で。
んー …
こういう本を何と言うのか、哲学的? 抽象的? 観念的?
30回ぐらい読むと味が出てくるような気もするが、ちょっと苦手だ。

聖書や、ギリシャ?ローマ?の時代の話と絡めたような表現が多く、自分にはその辺の知識が無いので何が言いたいのか分からない部分も多い。

が、妙に科学的な部分もあって、その辺は結構面白い。


▼(P11)
もし最初のアメーバ(ひとつの細胞からなる原生動物)が失敗なく再生されていったら、この地球はその唯一の単細胞動物の無数のコピーで埋まってしまう。


それが避けられたのは、「エラー」によって別の生物が生まれたからだ、と。
まあそれが「エラー」なのか、それとも「変異」「変化」あるいは「進化」なのか、言い方の違いだと思うが、「エラー」と書いた方が本は売れるだろうね ^^

とにかくそういうところから始まって、以下、章の見出しから拾うと、

・われわれが生きているのも間違いだ
・間違えたのが幸運だった
・有能なリーダーはエラーを犯す
・エラーが多いほど進化する

ってな話が続く。


▼(P171)
名声や権力があれば、人はエラーを犯してもそれほど苦にしないらしい。(中略)
エラーが多ければ多いほど、それを犯した人は守られる。(中略)大罪人やペテン師はいつもそうだ。
権力者は規則の番人である。(中略)だからこそ新たな規則を決めることができ、規則を自分に有利に解釈することも、規則を破りながら釈明しないでいることもできる。(中略)
自分が失敗したことがわかっても、それを認めないでいられる。



「ペテン師」とも呼ばれたどこかの首相を見てると大いにうなずけるねぇ。
「ペテン師」と呼んだ方も同類か。
間接的にではあれ、ああいう首相を生んでしまったのは日本人の「エラー」だ。

一方、

▼(P190~191)
日本人は生存をかけた問題に直面している。彼らには、自分の国が他の国より後に現われたなどとは信じられない。中国や朝鮮より後だなんて、なおさら信じられない。(中略)
日本人はこの地球にはじめて現れたと思っている。なにしろ天皇のひとりが、日本の歴史は179万2470年前にさかのぼると言ったのだから。



日本書紀にその179万年とやらの記述があることを指して言っているようだが、そんなもんまともに信じてる日本人はいないだろう。
誤解を招くような書き方をしないでいただきたい。
これは著者の「エラー」だ。


ま、色々な話が出てくるが、全体としてはどうも印象に残らない。
こういう本が好きな人は哲学者に向いてるんだろう。
自分向きの本ではなかった。

posted by 並句郎 at 12:16|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2011年08月16日

漢検生涯学習ネットワーク 会員通信Vol.2

…が届いた。


●会員向け研修会の開催報告

結構面白そう、かな。
札幌で開催があれば参加してみたいと思う。


●特集:最高峰1級への挑戦

リピーターが多いとか、特に目新しい話でもないような。


●会員お薦めの書籍:「日本語が亡びるとき」
●新刊紹介:「図解 日本の文字」

面白そうだ。
図書館で借りられたら読んでみたい。


●平成24年度からの漢検審査基準変更について

常用漢字表の改定への対応についてはホームページを見ろ、と。
見てみた。
おぉ、いつの間に。

やっぱ、2級が大きく変わるようだ。
準1級や1級の出題範囲は基本的には変わらない。

2級で今まで「審査基準」に入っていた人名用漢字が出題されなくなる、と。
ということは、これも準1級で出るようになったりする?
つか、今まで2級で実際の出題はあったのかな?


その「審査基準」(新・旧)の詳細はPDFで見られる。


準1級の新旧審査基準を見比べてみる。
色々変わってるが、中でも目立つのが“新”の方のこれ。

・複数の漢字表記について理解していること
(國―国、交叉―交差など)


こんな感じの出題は今まで、少なくとも最近は無かった気がするが、出るようになるのかも。


ほか、
“旧”では「国字を読むこと(峠、凧、畠など)」となっている部分が、
“新”では「国字を理解していること(峠、凧、畠など)」となっている。
「読む」だけでなく「理解」ってことは…
書き問題でも出るかもってことかね??


“旧”で「約3000字の漢字を読み、その大体が書ける。」のところが、
“新”で「約3000字の漢字の読み書きに慣れ、文章の中で適切に使える。」になってるのも気になる。
今まで書き問題で出なかった漢字が出るようになったり?
それとも何か新たな出題形式になったり??


まあ、受検しない自分には関係無いんだけど ^^;
受検されるかたは頑張って下さい。

当然ながら、

Q11 平成23年度以前に取得した級は、無効になりますか?
A  いいえ、無効にはなりません。


ってことなので、現行基準のうち(来年1月の試験まで)に受検されるのがよろしいかと。
新基準の1回目とかはやっぱやりにくいだろうしね。
それはそれで面白そうだけど。

posted by 並句郎 at 13:03| 漢検 | 更新情報をチェックする

2011年08月11日

準1級配当漢字 懷古寫眞舘093 「姪」

浜駅。
kaiko093.JPG

めいのはま駅。
旧国鉄筑肥線時代。
撮影は1982年。
1983年に開業する高架線の下の仮駅舎。

「姪」を漢和辞典で引いてみると、旺文社漢和辞典と漢辞海で意味が結構違う。

旺文社
1)めい。兄弟の生んだむすめ。
2)おい。兄弟の生んだむすこ。
3)妻の兄弟の子。めい。おい。
国語用法)めい。兄弟姉妹の女の子。



漢辞海
1)おい。めい。
 ア)女性が自分のきょうだいの子どもを指す呼称。
 イ)晋代以降は男子が自分のきょうだいの子どもを呼ぶのにも
   用いるようになった。
2)親しい友人の子どもに対する呼称。



現代日本では、旺文社の「国語用法」にある通り、いわゆる「めい」の意味だけだと思うが。


で、旺文社・漢辞海ともに、訓読みでは「めい」の他に「おい」もあることになっている。

「完全征服」では「姪」の読みは、
 音読み=テツ
 訓読み=めい
で、「おい」は無い。


では「姪浜」の地名の由来は、と、Wikipediaなどを見ると、「めい」とも「おい」とも無関係のようだ。

posted by 並句郎 at 01:14|   寫眞舘各記事 | 更新情報をチェックする