2011年06月29日

「薩摩漂流奇譚」

南方新社
名越 護 著
薩摩漂流奇譚
(2004年9月20日 第1刷発行)


江戸時代、薩摩から江戸へ米を運ぶ船が遭難して千島のハルムコタン島に流れ着き、船頭たちはカムチャツカ、オホーツクなどを経て択捉島に帰り着く、という漂流記。

出航時は25人だったが生還したのは3人という、漂流記としては有り勝ちなパターン、とは言えやっぱり悲惨な話。

…なのだが、その物語の前後、それに物語中にもちょいちょい、何と言うか関連事項の解説みたいなのが挟まっていて、肝心の漂流記部分はページ数にして全体の半分以下か。
関連事項とは、例えば、当時の日露関係とか、高田屋嘉兵衛とか、別件の漂流記についてとか…
その解説部分も悪くはないのだが、物語本として読もうとするとちょっとアレかな、と。
ま、漂流もの全般に関心があれば、全部を興味深く読めると思う。


著者は新聞社の定年退職者とのことで文章はまあ読みやすいが、物語部分はやや素人っぽい気もした。

ちょっとびっくりしたのが、物語中に「爆睡」という言葉が出てきたこと。

(P59)
誰もその夜は生還の喜びで爆睡した。

9ヶ月以上漂流した末にやっと島にたどり着いた場面で、そりゃ爆睡したくなるのも分かるが…
「爆睡」って最近の言葉じゃないのかなぁ?
手持ちの漢和辞典には載っていなかった。
大辞泉には載っていたが、《若者言葉》と注記がある。

大辞林には載っていないようだ。

今時の《若者言葉》を使っちゃダメとは言わないけど、江戸時代の話の中に出てくるとやっぱ違和感が。

ま、定年退職者とは言え、気持ちの若いかたなのだろう。
いや、自分の感覚が古いのかな?

posted by 並句郎 at 12:27|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2011年06月28日

一旦緩急

一旦緩急

ダイソー四字熟語辞典によると、意味は「いざという時。緊急時の意。」

説明として「「緩急」は緊急、危急の意。」とあるが、「緩」という字はむしろ逆の意味なのでは?


旺文社漢和辞典で「緩」を見てみる。
やはり「ゆるい」のような意味しか無い。
ご丁寧に「←→急」と、「急」の反対語であるとも書いてある。

が、熟語「緩急」を見ると、

(1)ゆるやかさときびしさ。
(2)非常にさしせまったこと。危急。
[参考](2)の緩は付帯字で、意味がない。


とある。
「緩」は意味の無い付帯字、か。


大辞泉でも「緩急」を見てみた。

《「緩」は語調を整えるだけの語》

と。

いやまあ意味が無くても語調を整えるだけでもいいんだけど、だったら「緩」じゃなくてもいいんじゃないの?
わざわざ「急」の反対語の「緩」を使ったのには何か意味があるのだろうか?

わざと反対語を使って意味を強める、みたいな?
甘いスイカにしょっぱい塩かけて食べる、みたいな???

posted by 並句郎 at 12:01| 言葉・疑問 | 更新情報をチェックする

2011年06月26日

漢検準1級 平成23年度第1回

先週の日曜日が試験日だったんだね。
問題用紙の1枚目の画像をアップしてるブログを見つけたので、挑戦してみた。

で、某所の正答案で採点した結果、95点。(1枚目だけなので100点満点)

以下、(間違えた問題)→○正答 ×誤答 …感想

●読み

現代の(世諺)を輯める。→○せいげん ×せげん

…どっちでもいーじゃんよぉ ^^;
 確かに辞書には「せいげん」としか載ってないが…
 まあ例えば「世紀」は「せき」じゃないってのと同じか。
 漢和辞典を見ると、「セイ」は漢音、「セ」は呉音とのこと。
 しかしそれを理屈で使い分けるのは自分には無理。
 問答無用で「世諺=せいげん」と覚えるしかないか。


(繭紬)のへこ帯を締める。→○けんちゅう ×けんしゅう

…これは準1級の受検勉強で見た気がするが、忘れていた。
 「紬」に「シュウ」の音は無い。


●一字訓読み

(蕃)る→○しげ ×はびこ

…「はびこる」か「ふえる」かで迷ったが、どっちも間違いだった ^^;
 「蕃」に「ふえる」の読みはあるが、それなら「蕃える」で送り仮名が違う。


●書き

明日は故人の(ショウツキ)命日である。→○祥月 ×嘗月

…「ツキ」は「月」だろうと想像はついたが、「ショウ」は皆目分からん。
 準1級で出そうなところで、なんとなく思いついたのが「嘗」だった。
 これは漢字と言うより一般教養の問題か。


ほか、危なかったのが、読みの「枕辺(ちんぺん)」、書きの「カイサイ(皆済)」など。



ひとつ気になったのが、最初の読み問題の29番。

良玉は彫らず、美言は(文)らず。→○かざ

「文」はもちろん常用漢字で、それを「かざ(る)」と読むのは表外読みだが、表外読み問題ではなく普通の読み問題として出題されている。
こういうことって今までにもあったのかな?
常用漢字が増えたので、今後、表外読み問題が増えるよ~という前フリだろうか?

posted by 並句郎 at 19:33| 漢字 | 更新情報をチェックする

2011年06月23日

準1級配当漢字 懷古寫眞舘086 「茄」

子。
kaiko086.jpg




青森県尻屋崎。

植物の知識など無いので、本当にハマナスなのかは保証できないが ^^;


「完全征服」によると「茄」の読みは、
 音読み=カ
 訓読み=はす・なす・なすび


「茄」の一文字でも「なす・なすび」なのはいいが、「はす」って何だ「はす」って。

「茄」を旺文社漢和辞典で引いてみる。

[解字]
形声。
艹(草)と、音を表す加
(のせる意→何)とから成る。


…とあり、意味として最初に、

はす(蓮)。はちす。=荷。

…とある。
「加」は「何」に通じ、「荷」の字はハスの意味もあるから、「茄」の字は元はナスではなくハスを指していたのだろうか?

だとして、なぜナスを指すようになったのか?
「茄子」という表記からすると、ナスはハスの子供だってことか?
小型のハスがナスだってことか?
あくまで門外漢の感覚だが、ハスとナスって、全然似てないよねぇ???

…ハスについてはあんまり画像検索とかしたくないので、これ以上は調べない ^^;

posted by 並句郎 at 23:19|   寫眞舘各記事 | 更新情報をチェックする

2011年06月22日

「「県境」の秘密」

PHP研究所
写真:秋山忠右、 文:中原淳
「県境」の秘密 知られざる日本の不思議百景
(2009年12月25日 第1版第1刷発行)


全229ページ、うち50ページほどがカラー写真ページ。

神社、駅のホーム、島、温泉地、ホテル、変哲もない住宅地などなどの中を県境が通ってるとか、富士山頂は誰の所有か何県かとか、未確定の県境とか、飛び地とか、そんな話題性のある県境についての、その経緯の解説と小紀行文、って感じ。

ほぼすべて実際にその地を訪れて撮影し、土地の人の話も聞くなどしているところが特徴かと。
副題には“百景”とあるが、ネタ数としては30も無いけど ^^;

その手の話が好きなら面白く読める。
詳しい地図が載ってればなお良かったのだが…

あと、ふりがなが少ないのも特徴的。
「権禰宜」なんてなかなか読めないんじゃない?
漢検準1級を勉強してる人ならおなじみだけど。

地図も漢字も自分で調べろ!ってことですかそうですか。
では…
初めて聞いた“二重飛び地”について。(「県境」じゃなくて「市境」の話だけど)
千葉県東金市の中に山武市の土地があり、その中にまた東金市の土地があるんだとか。
地図を見てみた
なるほどこりゃ複雑だ。
地図見てもよく分からん。



ひとつ、明確な誤りがあった。

(P208)
東京都品川区の自宅から中原街道を通り、多摩川まで自転車で駆ける。
(中略)
体力が余った日は、多摩川に架かる丸子橋を渡り、神奈川県川崎市と東京都大田区の土手道を自転車で走りぬく。
(中略)
橋上に架かる〈東京都-神奈川県〉の案内標識を確認するたびに、「あっ、いま武蔵と相模の国ざかいにいるんだ」
(中略)
JR南武線の平間駅周辺をゆっくり走ることもある。相模国の平間村は(後略)


あのー…
東京・神奈川の都県境と、武蔵・相模の国境は別なんですけど…
川崎は相模じゃなくて武蔵なんですけど…
平間と同じ川崎市内、平間駅のすぐ近くに“武蔵”小杉駅などがあることを、この著者が知らないはずはないと思うんだが…
“武蔵神奈川”の出身者としてはここは指摘しておかねば ^^

posted by 並句郎 at 00:27|   図書館本各記事 | 更新情報をチェックする

2011年06月20日

天空海闊

天空海闊
てんくうかいかつ。

ダイソー四字熟語辞典によると、意味は
「空と海が広々としているさま。転じて、度量が大きくおおらかなこと。」

説明として、「「闊」は広いという意。」とある。

以上。
それで何の問題も無い、はず、なのだが…

「天空」と言うと、似た意味の「天」と「空」を重ねた語、ラピュタの天空かと思ってしまうが、もしそうだとするとこの四字熟語は、「天空と海が広々」ってことになる。
それだとどうもバランスが悪い
なんで空は2文字で海が1文字なのよ?と。
海をなめんなよ!と。

なので、この場合の「空」は「そら」ではなく、「闊」と同様に「広い」という意味なのではないだろうか、と思った。
それなら「天は広い、海も広い」ってことでしっくりくる。


三省堂 新明解四字熟語辞典には「天空海闊」は載っていなかったが、「海闊天空」が載っていた。
一部を引用。

かいかつ-てんくう【海闊天空】
「天空」は空がからりと晴れ上がってどこまでも広いこと。
「天空海闊てんくうかいかつ」ともいう。



武庫川女子大学のサイト中の「故事成語 Database」から、出典(古今詩話)原文

海は闊くして魚の躍るに従い(=海は広々として自由に魚をおどらせ)、天は空しく鳥の飛ぶに任す(=大空は雲一つなく鳥の飛ぶがままにまかせている)。


旺文社漢和辞典の「天」の項の熟語「天空」。

(1)空がからりと広いこと。「-海闊」
(2)大空



やはり「空」は「そら」ではなく「広い」か。
それも、からりと、雲一つ無く、らしい。
「広い」だけでなく、「からっぽ」の意味合いもあるようだ。

とりあえず納得した。

posted by 並句郎 at 23:20| 言葉・疑問 | 更新情報をチェックする

2011年06月17日

準1級配当漢字 懷古寫眞舘085 「阿」

修羅の流れ。
kaiko085.jpg


奥入瀬渓流。
青森県。
撮影は1991年。

「阿」は新常用漢字表に載らない。
確かに熟語はそんなに無さそう。
四字熟語では「阿附迎合」などいくつかあったが、他は…
熟字訓で「四阿=あずまや」と、あとはやっぱ「阿呆」ぐらいか? ^^

しかし漢和辞典を見てみると、結構な数の熟語がある。
現代日本では見ない語が多いが、漢検では出題されそうな雰囲気も無きにしも非ず…


ところで、「阿修羅」と「修羅」ってどう違うのか?
国語辞書を見ると、同じものだった。
「修羅」は「阿修羅」の略、とのこと。

でもこの奥入瀬渓流の見所は「修羅」ではなく「阿修羅」だし、
逆に「修羅場」を「阿修羅場」とは言わないだろうし、
使い分けは存在するんだろう。

…とは思ったが、一応ググってみた。

"阿修羅場"」 =約 22,200 件。

 結構あるなぁ…
 国語辞書には無いみたいだけど。


奥入瀬 "修羅の流れ" -"阿修羅"」 =約 852 件。

 「阿修羅」を除いての「修羅の流れ」の検索結果だが、これも結構あるなぁ。
 これは単純な間違いだと思うのだが…

posted by 並句郎 at 23:25|   寫眞舘各記事 | 更新情報をチェックする

2011年06月16日

四字熟語などパズル用 AKB48メンバーリスト改訂

以前作った、四字熟語などパズル用問題ファイルのAKB48メンバーリストを改訂。


新リストはこちら。


▼卒業した奥真奈美さんを削除。

△チーム4の発足にともない、同チームの10名中、4文字の7名を追加。

差し引き6名増。


その新リストで早速遊んでみると…
追加分の名前(の漢字)がパズル的に絶妙で、たった6名分の増加とは思えないほどの難易度アップ。
例えば、今まで「大」や「島」がつくのは大島優子さんだけだったが、
 大場美奈さん
 島崎遥香さん
 島田晴香さん
…が増えて難しくなった、などなど。

とは言え、全41名の小さいリストだからまあ知れたものだが。


あ、ついでに。
AKB48のリストに限らないが、自分の場合、もっぱらヒント1文字で遊んでいる。
ヒント0文字とは違った難しさ、面白さがある。
普段ヒント0文字で遊んでいるかた、ヒント1文字もお試しあれ。

posted by 並句郎 at 23:48| 漢字の周辺 | 更新情報をチェックする

2011年06月14日

続・一網打尽

昨日のエントリ後、「一網打尽」についてもう少し調べてみた。


三省堂 新明解四字熟語辞典から一部引用。

いちもう-だじん【一網打尽】
「打尽」はここでは捕り尽くす意。「打」は動詞の上につけて動作を表す助字。「…する」の意。



Web漢文大系から、「一網打尽」の出典文。

〔出典〕 『宋史』范純仁伝、『十八史略』宋・仁宗
御史中丞王拱辰、素不便衍等所爲。因攻其事。置獄得罪者數人。拱辰喜曰、吾一網打去盡矣。


(赤字部分読み下し)
吾、一網に打ち去り尽くせり、と。

(「盡」=「尽」の旧字体)


まず、元は「一網打尽」ではなく「一網打去尽」らしい。

で、どっちにしても、「打」は、網を打つの「打」ではなく、「去」または「尽」につく助字らしい。
そーだったのか!
網を打つの「打」だと思ってる人、多いよねぇ? …自分だけですか? ^^;

しかしなるほど。
「打ちあける」とか「打ちとける」とか、実際に何か物を打つわけじゃない場合の「打ち」かな?

大辞泉で「打ち」を引いてみる。

うち【打ち】
[接頭]動詞に付いて、その動作・作用を強めたり、語調を整えたりする。また、少し、ちょっと、の意を添えることもある。「―続く」「―興ずる」「―笑
(え)む」


なるほどなるほど。
接頭語ね。


しかしそれならば、「打」はそれほど重要じゃないよね?
元が「一網打去尽」ならば、「打」を省いて「一網去尽」にした方がよかったんじゃない?
「打尽」じゃいまいち意味不明だけど、「去尽」なら意味も通ると思うし。

…などと言ってみても詮無いことだが。


ま、というわけで。
「一網打」+「尽」ではないことが判明 ^^;
分けるとすればやっぱり「一網」+「打尽」か。
posted by 並句郎 at 23:49| 言葉・疑問 | 更新情報をチェックする

2011年06月13日

一網打尽

一網打尽

漢検で言えばおそらく4級の語だが。

ダイソー四字熟語辞典によると、意味は
「一度打った網で、たくさんの魚を捕らえることから、一度に悪者の一味を残らず捕らえること」


一度打った網で」ということは、この語は「一網打」+「尽」なのだろうか?
今まで切れ目がどこかなどと考えたことは無かったが。

もし「一網」+「打尽」だとすると、じゃあ「打尽」って何? とも思う。
「打尽」で一語にするのは無理な気もする。

IMEでは「打尽」で一発変換できたが、大辞泉や大辞林には「打尽」は載っていないようだ。

手持ちの漢和辞典にも、熟語「打尽」は載っていない。

日本国語大辞典ってのには載っているようで、解説の途中まで見ることができる。
そこで引用されている文章では
「一網に打尽したりしかば」
となっている。
「打尽」が一語だとしても、「一網」とペアで使われる運命なのだろうか?


まあ無理やり分けなくても、「一網打尽」の4字ワンセットで考えればいいんだろうけどね。


****************************************
2011.6.14 追記
 翌日のエントリ「続・一網打尽」もご覧下さい。
****************************************

posted by 並句郎 at 23:48| 言葉・疑問 | 更新情報をチェックする