2009年10月13日

子ども、障がい者 漢字が悪いわけじゃない

ネットで見た産経新聞の記事。
長いが、消えてしまうと惜しいので、全文をコピペ。



【新国語断想】塩原経央 子ども、障がい者 漢字が悪いわけじゃない
2009.10.12 09:10

 政権交代して、新聞にやたら「子ども」の表記が目立つようになった。民主党が掲げる「子ども手当」による。筆者に言わせれば「子供」と「子ども」とは別の概念だ。小児または小児らを指すのが「子供」で、「子ども」は「子+複数を表す接尾語ども」を表す書き方だ。

 なるほど「子ども」と書いても、この「ども」に複数を表すという意識はもうほとんど薄れている。だからといって、この接尾語「ども」が完全に滅んだかといえばそうではない。野郎ども、アホども、子供どもといえば複数概念がちゃんと生きていることが分かろう。この「ども」には、相手を見下すニュアンスがある。だから、「子供」よりもよほど子供を侮った書き方なのである。

 「子ども」表記にこだわる人に、「供」はお供の供で、子供を供え物のように扱う人権無視の書き方だという人がいるが、事実は右のように「子ども」の方がよほど子供の人権をないがしろにした書き方なのだ。

 子供の「供」は当て字だから「子ども」と書くのだという人には、こう言おう。「あなたは仕事を『し事』、乙女を『おと女』と書きますか」と。

 国語表記の基本は漢字仮名交じりだ。青空、恋人、場合、芝生のような純粋和語をもあたかも漢語のように漢字2字で表す工夫をしたのは、それが最も読みやすく理解しやすいからだ。それは長い時間をかけて出来上がった先人の知恵の集積であって、おかげで現代人はその恩恵に浴しているのである。妙な理屈をこねて、国語表記を毀損(きそん)する交ぜ書きを広めることに強烈な異議を申し立てたい。

 同じような理屈で、民主党の障害者の書き方は「障がい者」である。「障害者」ではまるで“人に害を与える人”みたいではないかと、これも多分“人権派”の、ある人が思いついたものであろう。それを自治体の幾つかが使用しだし、それが徐々に広がりつつある。

 「障害」は昭和31年の国語審議会報告「同音の漢字による書きかえ」に例示された「障碍(しょうがい)」の書き換えで、その後急速に広まった表記だ。だから、筆者はこれを「障碍者」に戻すことに異議は差し挟まない。しかし、「障がい者」と交ぜ書きにすることには反対である。

 なぜなら「がい」は音声を表すだけで意味を持たない書き方だからだ。「障害者」の「害」は“そこなう”という意味を持つ。「障碍者」の「碍」は“さまたげる”という意味を持つ。漢字ならそれがありありと見える。そういう人は心身が正常に機能するのにさわりや、そこない、さまたげを持つ人と理解するのが常識というものだ。“人に害を与える人”などというのは為(ため)にする議論である。

 「障がい者」は、障害者のハンディに目隠しをする書き方であり、非障害者が障害者を見て見ぬふりをするのに都合のいい書き方とさえいえる。

 文字はもとより、人の世を映して、それを表す手立てにすぎない。人の世には善があれば悪もある。美があれば醜もある。光があれば闇もある。「供」であれ「害」であれ、決して漢字が悪いわけでない。「子ども」「障がい者」と漢字隠しをしても、問題は一つも解決しない。けしからんのは漢字ではなく人間の方なのだから。新政権はそこをよくよく考え、国語表記の襟を正すべきだ。


▲コピペここまで▲


漢字とかなの交ぜ書きについては以前にも書いたことがあったが、ここでも特に「障がい」の件。

“人権派”の思いつき。
為にする議論。
漢字隠しをしても、問題は一つも解決しない。

ほんっっっっっっとにその通りだと思う。

「障害者」あるいは「障碍者」を「障がい者」と書いたとして、じゃあその「がい」って何なのかと言えばそれはやっぱり「害」や「碍」でしかない。
それこそ“子ども”だましだ。

「がい」に和語としての意味があるならまだ許せる。
しかし「害」の「がい」は和語のようでもあるが、音読みだ。
それに元は「碍」の字だったのである。
「碍」の「がい」は、これはもうどう見ても音読みでしかない。
つまり、仮名で書いても意味不明、漢字で書いて初めて意味を成すわけで、それをわざわざ仮名で書こうとする愚かさ。

「碍」は常用漢字ではないとはいえ、特に難しい文字でもないだろう。
常用漢字に追加せよ、という声も多いようだ。
常用漢字に追加し、なんの障碍も無く「障碍者」と書ける、書かれるようになればいいのだが…

“人権派”に踊らされたりしていない障碍者の方々はどう感じているのだろう?


ついでに。

「日本ガイシ」という会社がある。
碍子で世界一の会社。
それなのに何故に「日本ガイシ」なんていう、主観で言わせてもらえば情けない社名なのか。
「ガイシ」は西洋から来た言葉なのか?
はっきりとは知らないが、そうではないだろう。
「電機」なんかと同じで漢語なのだと思う。
それをカタカナで書く意図は何なのか?
例えば三菱電機が「三菱デンキ」なんて書いたら変だろう。
日産自動車が「日産ジドウシャ」、
住友化学が「住友カガク」、
新日本製鐵が「新日本セイテツ」なんて書いたら…

実際のところ、そういう例は日本ガイシ以外にもあるし、一般的に碍子はカタカナ書きされることも多いようだ。
しかしどうにも違和感を拭えない。
個人的に日本ガイシと関係があるわけではないが…

日本ガイシのサイトで会社沿革を見ると、元は「日本碍子」だったようだ。
それをなぜか1986年に「日本ガイシ」に変更している。
1981年に定められた常用漢字表の影響が有るのか無いのか知らないが、今後「碍」が常用漢字に追加されようとされまいと、是非とも堂々と「日本碍子」と名乗って欲しい。


posted by 並句郎 at 11:18| 漢字の周辺 | 更新情報をチェックする